日本人の防犯意識レベルは海外から見るとバツのようだ

日本は世界でも「トップレベルの安全な国」と評価されている。治安がよいのはありがたいことではあるが、それゆえに防犯意識というものが低下している可能性がある。特に日本以外の国で育った人々の目には、そのように映ってもおかしくはないだろう。

そこで、日本在住の外国人20人に「日本人の防犯意識」をどう思うのか質問してみたので、印象的な回答をピックアップして紹介しよう。

Q. 日本人の防犯意識についてどう思いますか。母国と比較してお答えください

■日本人の防犯意識は低い
・「日本はとても安全でやっぱり防犯意識が少し乏しいと思います。母国では深夜とかだと警戒心を強めますが、日本人は何も起こらないと信じてあまり警戒しない感じがします。ただ、これ自体は悪いことだと思いません」(ブラジル/20代後半/男性)
・「日本は極めて安全なので、防犯意識はイタリアよりずっと低いです。喫茶店などで、荷物を置いてお手洗いに行くのが一つの例です。イタリアだけではなくて、そのようなことをしても盗まれない国なんて片手で数えられるかと」(イタリア/30代前半/男性)
・「街中に出る時は、治安が良いという雰囲気があり皆それほど防犯のことを気にしていないと思います。母国では、財布をズボンの後ろポケットに入れたらほぼ確実に10秒ほどですられます」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「安全な国だからこそ低い防犯の意識 。例えば、日本の家屋の窓には防犯用の柵がない。中国では、マンションやアパートの窓の多くに金属製の防犯用の柵が設置されている。柵があったとしても、日本では玄関のある通路側の窓に設置されていることが多いが、ベランダ側に厳重な鉄格子などがあることは少ない。一軒家も同様で、基本的には隣家との境にちょっとした柵があるだけで、前面は開け放たれている家が多い。こうした光景は中国に見られないです」(中国/30代前半/男性)
・「日本人もモンゴル人も防犯意識があまりないみたいです」(モンゴル/30代前半/男性)
・「韓国もそうだけど、あまり防犯に対する意識は高くない。その分、安全で平和な国である証拠だと思う」(韓国/20代前半/男性)
・「安全な国なので、低いと思います。パリだと皆が常に気をつけています。別に日本にいる時はそのままで良いと思いますが、海外旅行の時はもっと意識を持ったほうが良いと思います」(フランス/30代前半/男性)
・「日本人の犯罪意識は結構低いと思います。治安は他の国よりいいとは言え、犯罪がないわけではないんです。特に老人が犯罪の対象になっていると思います。毎日のように、強盗目的で殺害された老人のニュースを目にします。老人が非常に多い国ですから、そういう人たちを守るための防犯対策をとるべきだと思います。ルーマニアは町によって治安があまり良くないところがありますので、基本的には一階の窓に必ず鉄格子を付けたり、玄関のドアにチェーンをかけたりします」(ルーマニア/30代前半/女性)
・「母国と比べたら低いと思います。日本はどちらかというと安心、安全なほうだからかな」(ハンガリー/30代前半/女性)
・「低いと思う。母国は厳重。治安上、仕方がない」(パラグアイ/30代前半/女性)
・「安全性が高い国だから、母国と比べたら防犯意識があまりないと思う」(ロシア/20代中盤/女性)
・「日本は安全な国ですから、日本人の防犯意識は低いと思います。例えば、レストランやカフェで、携帯とバックを誰もいない席に置いてトイレに行くことは香港ではありえません。すぐに荷物が盗まれてしまいます」(香港/20代後半/女性)

■日本人の防犯意識は高い(高くなっている)
・「会社レベルだといいですが、一般家庭レベルではタイも一緒かなと思います」(タイ/30代前半/男性)
・「高いと思います。母国も高いです」(インド/40代前半/男性)
・「あまり考えたことないですが、日本はアメリカより犯罪が少ないので、防犯意識が高いのかもしれません」(アメリカ/30代前半/女性)
・「意識は高いと思います。例えば子供たちに防犯ブザーを持たせるなどです」(インドネシア/40代前半/女性)
・「だんだん高くなってきています。例えば、必要なところに監視カメラはどんどん設置されています。わが国は、国レベルで見れば監視カメラの設置はまだ少ないと思います」(フィリピン/40代前半/女性)

■その他
・「日本も母国も自分の事情に合わせていると思います。日本は犯罪の少ない国ですので防犯意識がいろいろな国と比べたら低いですが、日本では十分です。母国は防犯意識がもっと高いですが、そのレベルも母国では十分だと思います」(スペイン/30代前半/女性)
・「全体的に治安が良いイメージがあって、周りにドアに鍵をかけず出掛ける人もいる。ただ、台湾と比べると防犯意識が高いか低いかよく分からない」(台湾/20代後半/女性)

■総評
今回のアンケートでは、全体の6割が「日本の防犯意識は低い」と考えていることがわかった。やはり、全体的に見れば安心・安全な国であるため、そこに慣れ親しんでいることにより、防犯への意識がやや薄れているのではないかといった趣旨のコメントが大半だった。

中でも指摘が多かったのが、飲食店などにおける荷物を置いたままでの席外しだ。友人や知人がテーブルにいてくれたらまだしも、他に誰もいないようだったら確かに置引に遭ってしまう可能性は一気に高まる。また、「老人が非常に多い国ですから、そういう人たちを守るための防犯対策をとるべきだと思います」とのコメントにあるように、超高齢社会に生きる日本人として考えさせられる指摘もあった。

個人レベルでやれる防犯対策には限界があるかもしれない。だが、いつ・どこで・どのようなトラブルに見舞われるかわからない以上、「深夜にむやみに出歩かない」「ちょっと部屋を空けるだけでも必ず施錠をする」といった最低限の防犯対策はしっかりとするようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート