筆者は現在「Office 365 Solo」を契約しているが、サブスクリプション期間の終了が迫っている。このまま延長するか、すでに所有している「Office 2016」に戻すか検討中だ。そこであらためてOfficeのラインナップを確認していたところ、フッと「Office 365 Business」が目に入ったのである。

法人向けのOffice 365には、Office Onlineやメール機能などを含む「Office 365 Business Essentials」、デスクトップアプリを含む「Office 365 Business」、メール機能とデスクトップアプリを組み合わせた「Office 365 Business Premium」など多くのプランを用意しているが、Office 365 Soloとの比較であれば、Office 365 Businessが適切だ。

「Office 365 Solo」と「Office 365 Business」の機能差

上図は両者を比較したものだが、各項目については補足が必要だろう。まず価格は年契約・税込みでまとめている。機能差は、Office 365 Businessの場合、OfficeスイートにMicrosoft Accessを含んでいないものの、インストール可能台数は5台に拡大する。この点は非常に大きい。1人で5台のクライアントPCを併用するシーンは想定しにくいが、本誌読者なら「同時に使用しないが、その程度のPCは現役」という方も少なくないだろう。

オンラインストレージはOneDriveの代わりにOneDrive for Businessを使用可能。日本マイクロソフトの説明によれば、デスクトップアプリ版のOneDriveクライアントは、個人のOneDriveとOneDrive for Businessを併用できるため、特に心配することはない。ただし、現環境から移行するツールなどは用意されていないため、Office 365 Premium/SoloからOffice 365 Businessへ切り換える場合、ファイルのアップロードはやり直しだ。

UWP版OneDriveも、OneDriveとOneDrive for Businessをサポートしている

また、Skypeの無料通話はなくなるが、筆者はこの1年間にSkypeの通話機能を使う場面は皆無だった。このように両者を比較すると、Office 365 Businessではインストール可能台数が増えて、年間で1,000円ほど安くなるというメリットが浮き彫りになる。

今度は更なる比較対象として、2台のPCにインストール可能な「Office Home & Business 2016」を追加し、5年目までの費用を比較してみた。なお、消費税は8%で固定している。Office 365 Soloは3年目で、Office 365 Businessは4年目でOffice Home & Business 2016の価格を超えてしまう。

各Officeを5年間使い続けたときの価格差

だが、Office 2016のリリースは2015年9月。2020年までに新バージョンをリリースするか否かはMicrosoftの戦略次第だが、約1年前にMicrosoft Office (当時はMicrosoft Apps and Services Marketing担当) CVPのJohn Case氏に方向性を伺ったところ、「開発モデルが変わった。将来的に需要があればOffice 365の新機能をOffice 20XXとしてリリースする可能性もある」と述べている。このようにMicrosoftのクラウド戦略を鑑みると、新バージョンリリースの可能性は極端に低い。

FEST 2015開催時に来日したMicrosoftのJohn Case氏

今回の比較には、Office 2016とOffice 365どちらを選ぶかという根本的な問題が残っている。だが、サブスクリプション型のOffice 365に移行する際に、AccessやSkypeの無料通話権が不要であれば、Office 365 Businessのほうが5年間で5,400円ほど得になる。サブスクリプション型でOffice 365を契約中の読者諸氏は、契約更新のタイミングで再考いただきたい。ちなみに、法人向けOffice 365を個人が購入することを禁止するライセンス条項を見つけることはできなかった。

阿久津良和(Cactus)