テクトロニクスは8月3日、ベーシック・オシロスコープの新製品「TBS2000」シリーズを発表した。

同製品は世界中で80万台以上の出荷実績がある「TDS2000」シリーズの成功をベースに開発され、オシロスコープの基本性能である観測・測定機能を強化した製品となっている。なお、位置づけとしてはベーシック・オシロスコープ「TBS1000」シリーズの上位機種にあたる。

「TBS2000」シリーズ。テクトロニクスの新しいロゴを付けた最初の製品となる

同シリーズは周波数帯域70MHzと100MHzでそれぞれ2ch/4Chの計4製品をラインアップ。価格(税別)は14万8000円~27万4000円で、設計エンジニアのほか、教育機関での技術実習用途での導入を見込む。また、手頃な価格帯に対し高度な計測機能を提供できることから、ベンチャー企業での普及も期待できるとしている。

TBS2000シリーズの概要および価格 (出典:テクトロニクス)

クラス最大ディスプレイで水平15divを表示

観測機能の面でTDS2000シリーズと比べて、大きく異なるのがディスプレイだ。クラス(~100MHz、30万円台のオシロスコープ、以下同)最大の9型ワイド液晶カラーディスプレイを採用し、精細な信号表示を実現する。また、時間軸は従来比50%増となる水平15divを表示し、従来製品の10div表示では把握できなかった時間軸でも信号の欠損を検出することができる。

さらに、クラス最長の20Mポイントのレコード長を実現し、従来製品に比べてはるかに長い信号を読み込むことが可能。これまでは、長い信号を読み込むと目的の信号を探し出すのに時間がかかっていたが、時間軸を遡ったり、詳しく見たい波形にズームできるパン・ズーム機能を搭載しているため、効率的に目的の信号を出すことができる。

クラス最大のディスプレイと最長のレコード長を誇る (出典:テクトロニクス)

トリガについては従来のエッジ・トリガとパルス幅トリガに加えて、本来のレベルに立ち上がらない/立ち下がらない不完全な信号の検出が可能なラント・トリガを新たに搭載した。FFTでは、スペクトラムの表示に加え、元の信号を画面上部に表示することで相関を簡単に確認できるほか、わかりやすいメニュー構造を採用するなどUIを改良した。

「ラント」は"切り株"という意味とのこと (出典:テクトロニクス)

観測条件を見やすい位置に透過表示するなどFFTも進化 (出典:テクトロニクス)

インテリジェントプローブに対応

計測機能面では、インテリジェントプローブインターフェース「TekVPI」を搭載。これにより、電流プローブ、高圧差動プローブ、電圧プローブなどテクトロニクスの豊富なプローブ・ラインアップの活用が可能となり、対応アプリケーションの幅が広がった。

アプリケーションの幅が広がったことに加え、プローブの接続部から電源を供給できるため、外部電源が不要となった。 (出典:テクトロニクス)

自動計測機能では、設定項目を一覧で表示することで選び易さを向上。また、カーソル測定の際に、カーソルを当てた位置の数値をカーソルのすぐ近くに表示するほか、2つのカーソルの差分を補助線で表示することで、直感的に理解しやすい表示とした。このほか、Wi-Fiやイーサネットで通信と制御が可能となったほか、FFTの設定時に選択肢の説明を図とテキストで提供するヘルプ機能「HelpEverywhere」を搭載した。

技術教育で役立つ機能も

教育分野向けの機能としては、オシロスコープ上で動く電子テキストとしてコースウェアをWebサイトで提供。このコースウェアは編集でき、他のユーザーと共有することも可能。また、本体に搭載されているオシロスコープの入門書や複数のオシロスコープを集中監視できるTekSmartLabも実習などで便利な機能だ。

「TBS2000」では教育分野も重要な顧客 (出典:テクトロニクス)