ソフトバンクグループと英ARMは7月18日、ソフトバンクがARMの発行済み株式および発行予定株式のすべてを現金で買い付けることで合意したと発表した。

これによりソフトバンクは、総額約240億ポンド(約3.3兆円)の買取価格を対価として、ARMの株式14億1200万株を取得することとなる。今回の買収に対し、ソフトバンクでは、以下のような利点を提供できるとコメントしている。

  • 知的所有権に係るライセンスの供与および半導体企業の研究開発受託におけるARMのグローバルリーダーたる地位をサポートし、さらに強固なものにできる。ソフトバンクが有する深い業界専門知識とさまざまな関係からなるグローバルなネットワークを通じて、ARMの知的所有権を既存の市場および新規市場にわたり浸透させることができる
  • ARMのイノベーションへの傾注を維持できる。ソフトバンクは、ARMが長年注力してきた、デバイス自体の価値向上と、新しい成長分野、特に「Enterprise and Embedded Intelligence」におけるライセンス供与先の獲得と将来のロイヤリティ収入増の取り組みを支持していく
  • ARMが次なるイノベーションの波を起こすための投資を拡大することができる。ARMは、既存または新規の競合他社に対する研究開発における優位性を維持することを目的として、エンジニアリング人材および補完的な買収へ投資することにより、複数の成長戦略を推進しており、ソフトバンクはこれを支援していく。またソフトバンクは、このような投資戦略により超奇跡成長を目指す中で、ARMが非上場会社となることにより、遂行がより容易になると考えている
  • 共通の文化と長期的視野。ソフトバンクは、両社がテクノロジー志向の文化と長期的な視野を有し、イノベーションを重視し、最高の人材を惹きつけ、開発し、保持することとに最大限注力するという共通点を有していると考えている。このような価値観の共有は、将来的に重要な機会をとらえるために必要とされる、強力な戦略的パートナー関係構築の礎となるものである
  • 科学技術分野における英国の先導的地位を維持し、成長させることができる。ソフトバンクは、科学技術の発展とイノベーションにおいて世界的に先導的地位を有する英国に対して投資していく。その証として、ARMの複数の成長戦略に対する投資を行い、向こう5年間で、英国におけるARMの従業員を、少なくとも倍増させる意向

なお、同買収に伴い、ARMの株主は1株当たり1700ペンスの現金を受領する権利が付与される予定となっており、買収はARMの株主の承認およびイングランドの裁判所の承認を取得次第、効力を発揮するとしている。

またソフトバンクでは、同買収に必要な資金を調達することを目的に、総借入限度額1兆円のブリッジローンをみずほ銀行を貸付人として締結したとしている。