日本と言えば、世界でもトップレベルの「治安のよい国」として有名だ。警察庁の犯罪統計資料によると、平成27年の刑法犯の認知件数は109万8,969で直近5年で見るときれいに右肩下がりとなっている。
その一方で、テレビニュースで傷害や強盗に関する報道を連日のように目の当たりにしている。「治安がよい」と言っても、毎日どこかで刑法犯が誕生しているのは否めない。
それでは、日本の治安の良さを知ったうえで訪日・移住を決めたであろう外国人は、実際の日本の治安についてどのように感じているのだろうか。日本在住の外国人20人に聞いてみたので、具体的な理由とあわせて気になった回答を紹介する。
Q. 日本の治安はどうですか? 母国での具体例とあわせて教えてください。
■日本の治安は優れている
・「とても安全です。夜、1人で外を歩いても全然安全なのでとてもいいです。ロシアは夜になると酔っ払っている人をあっちこっちで見かけるので治安が良くない。前と比べて改善していますが」(ロシア/20代後半/男性)
・「日本の治安に問題はないです。イタリアは場所や地域、時間帯によってかなり異なりますけど、夜中の公園や駅周辺は危険」(イタリア/30代前半/男性)
・「母国と比べて日本の治安はとてもいいです。女性も夜1人で歩けるところなどです」(トルコ/40代前半/男性)
・「安全。中国と変わらない」(中国/20代前半/男性)
・「日本は犯罪率がすごく低いのでとても安全な国だと思います。エジプトも一般的に安全ですが、最近危ない所もあります」(エジプト/20代中盤/男性)
・「とても良いと思います。台湾もいいほうですね。日本でも台湾でも、夜に1人で歩くのは大丈夫です」(台湾/40代後半/女性)
・「日本の治安はいい方だと思いますが、香港も悪くはないと思います。夜中に1人で出掛けてもそこまで心配しないです」(香港/20代後半/女性)
・「日本は治安がいい。日本では財布を無くしたら戻りますが、フィリピンはスリが多くてかばんをいつも体の前に抱えるとか色んな対策が必要です」(フィリピン/30代中盤/女性)
・「私の国では、夜に1人で外出するのは危険です。それに比べて日本は非常に安全な国です」(ポーランド/30代前半/女性)
・「すごく安全だと思います。夜遅い時間に1人で帰宅しても全く危険を感じません」(カナダ/30代前半/女性)
・「日本の治安は非常に良いです。携帯電話や財布などをテーブルの上にそのまま置いておいても盗まれないけれども、母国はカバンの中から私物が盗まれる恐れがあります」(ウクライナ/20代中盤/女性)
・「治安の良さは日本の特徴の一つです。海外のどこに行ってもとても危険です。物を盗まれる可能性の高いケースが多いです」(スペイン/30代前半/男性)
■条件次第では母国と同等か劣る
・「まあまあ安全ですが、夜中ひとりで歩くと、シンガポールの方が安全な気がします」(シンガポール/20代後半/男性)
・「場所によっては悪い。場所によっては母国とあまり変わらない」(インドネシア/20代後半/男性)
■日本社会にモノ申す
・「母国よりいいですが、最近変な事件が多いです。特に子供を狙ったもの。母国にはあり得ないことなので、ちょっとびっくりした」(マレーシア/30代中盤/女性)
・「治安はいいと思います。よく街をパトカーが回るのを見かけます。ただ、住宅街の夜は真っ暗なので1人で歩くのが怖いです。韓国は夜も結構明るいです」(韓国/30代前半/女性)
・「母国の治安は最近悪化しています。もっともっと良かったのに。最近は日本も治安が悪くなっていますが、まだまだ安心して暮らせます」(ブラジル/40代前半/女性)
■総評
日本の治安が母国と同等、もしくは劣ると回答したのは2人だけで、日本の治安の良さにある程度満足している外国人が圧倒的多数という結果になった。その中でも多くの回答者に共通して見られたのが、「夜に1人で出歩いても大丈夫」というコメント。この行動ができるか否かを、「治安がよい」と考える判断材料の一つとしている人が多いようだ。
ただ、「世界中でもトップクラスの治安がいい国ですが、近年は凶悪な事件が急増している気がします。オーストラリアは近年、事件の数が減少してきたそうです」(オーストラリア/30代後半/男性)といったように、かつてに比べ、日本の治安が悪化しているのではないかと懸念している外国人も散見された。
円安による割安感なども手伝い、2015年の訪日外国人数は過去最高の約1,974万人となった。当時とはさまざまな状況が異なるものの、非常に多くの外国人が今も日本を訪れている事実に揺るぎはない。
日本の良さを海外の人たちに感じてもらうため、ひいては自分たちが生活しやすくなるため、私たちはよりよい社会づくりをしていく必要があるだろう。
※写真と本文は関係ありません
調査時期: 2016年2月15日~2016年3月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート