子どもを乗せた自転車の安全利用について考える

母親の自転車が車に接触し転倒したことで、おんぶしていた赤ちゃんが頭を打って亡くなる事故があった。買い物や保育園の送迎など、子連れママ・パパの移動手段として欠かせない自転車での事故であるだけに、考えさせられた親も多かったのではないだろうか。

そこで今回は、国民生活センターが行った「子どもを自転車に乗せて使用する実態」についてのアンケート結果を紹介。今年4月に実施された春の全国交通安全運動でも重点項目に位置づけられていた自転車の安全利用について考える。

駐輪場でも転倒事故相次ぐ

国民生活センターなどが2010年12月から2011年7月末の期間に医療機関から収集した情報によれば、自転車に10歳以下の子どもを乗せていた時の転倒や子どもの転落に関する事故は62件。このうち、全体の77%が頭や顔をけがしていて、ヘルメットを着用していたとわかった事例は18件(29%)にとどまっている。

具体的にどのような事故があったのか。詳しく見てみると、「子どもが自転車の前席に乗っていて、自転車ごと倒れた。母がスーパーの駐車スペースに自転車を入れようとして、子どものヘルメットを外し、横にあった他人の自転車をよけていた」(1歳男児 打撲傷)、「子どもは自転車の前席に乗っていた。母が駐輪場で自転車の向きを変えようとした時にハンドルをとられてしまい、自転車ごと転倒」(2歳女児 打撲傷)など、走行中以外でも事故が起きていることがわかる。

左から「転倒した、もしくは転倒しそうになった経験」「転倒した、もしくは転倒しそうになった場面」(「転倒したことがある」「転倒しそうになったことがある」と回答した107名の回答を集計: 複数回答)

また、神奈川県内で子どもを乗せて自転車を使用することのある保護者を対象に行った調査(回答数: 148件、期間: 2011年7月11日~8月15日)では、全回答者のうち28%が実際に「転倒したことがある」と回答。「転倒しそうになったことがあった」と答えた人も44%いた。転倒したことがある、もしくは転倒しそうになった場面として最も多かったのは「走行中」(26件)であったが、次いで「自転車にまたがったままでの停車中」(18件)、「押し歩き時」(17件)、「子どもの乗せ降ろしの時」(17件)と続いていて、こちらの調査でも走行中以外の事故が目立っている。

ヘルメットは乗車前に着用を

これらの調査などから同センターは「幼児を乗せて自転車を扱う時には、押し歩きや駐輪動作中にも転倒の危険があることを認識する。また、必ずヘルメットを乗車前に着用させるようにする」と注意を呼びかけている。さらに、幼児を乗せた自転車は重さが増すことから▽必ず両手で自転車を操作する▽前輪を浮きにくくするため、後席は極力荷台の前方に取り付けるなどの配慮が必要とのことだ。

加えて幼児の乗せ降ろしをする際には、「ハンドルがまっすぐ前を向いていること」「自転車が横方向に傾いていないこと」を確認し、スタンドのロックをかけてほしいとしている。

同センターは「子どもを乗せていた時の自転車の事故は保護者の不注意と捉えられる傾向があるが、特に都市部などでは車に代わることのできない重要な交通手段でもあり、保護者が子どもを自転車に乗せることは日常的に行われている」と指摘。その上で、万一自転車が転倒した場合には、子どもが大きなけがをすることもあるとして、注意喚起を行っているという。

日々使用する大事な交通手段だからこそ事故が起きやすいケースを把握し、ぜひとも安全に利用していただきたい。

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