東京都・清澄白河の東京都現代美術館は、複数の視点を通して「東京」を浮かび上がらせる展覧会「東京アートミーティングVI "TOKYO"ー見えない都市を見せる」を開催している。会期は2016年2月14日まで(月曜・11月24日・12月28日~1月1日・1月12日休館、ただし11月23日・1月11日は開館)。観覧料は一般1,200円、大学生・専門学校生・65歳以上900円、中高生700円、小学生以下無料。

イェンナ・ステラ《組織/有機体》のためのスケッチ 2015年

黒河内真衣子 mame《Personal Memory》 2014AW, Photo: Motohiko Hasui

イエロー・マジック・オーケストラ 1979年 (c) Photo by Masayoshi Sukita

同展は、「東京」を浮かび上がらせるための2つの構成によって成り立つ展覧会。ひとつは各界で活躍する東京のクリエイターがそれぞれの視点でキュレーションした「東京」、もうひとつは国内外作家が「東京」をテーマにつくる新作となっている。ひとつの概念で東京をまとめる(キュレーションする)ことはできないという考えのもと、複数の視点を通して東京という都市を浮かび上がらせるということだ。

「東京」という都市における、テクノポップや成熟と幼さが奇妙に同居するネオテニー的特徴、誰でもが有名になりうる舞台で育まれる過剰な自己演出の美学は"ポップ"の文脈でとらえられるという。また、不安定で先の見えない社会的状況を個々人の強いライフスタイルの表明、あるいは積極的なつながりの中で乗り切ろうとする動きは多様な表現の形式に拡張している。一方、ポスト・インターネット世代の中で育まれるイメージ・オブジェとしての新しいマテリアル感覚、新旧が日常的に共存する都市風景をパラレルワールドとして再構築する若い世代の感性も生まれている。これらの感性や表現の鉱脈は、実は80年代から発展的に継承されている東京の創造力から掘り起こせるものであると同展では考えられており、同展では、1980年代文化の命脈を引き継ぎながら、現れようとしている現在の東京の創造力の可能性を、国内外のアーティストの多様な視点によって多角的に探るということだ。

出品作家は、YMO+宮沢章夫、蜷川実花、ホンマタカシ、岡田利規、EBM(T)、松江哲明がキュレーターとして参加。また、スーパーフレックス、サーダン・アフィフ、林科、目【め】が新作出品作家として参加。ほか、計9ヶ国51組が参加している。

トーマス・デマンド《制御室》 2011年 (c) Thomas Demand, VG Build-Kunst, Bonn / JASPAR, Tokyo 東京都現代美術館蔵

テイバー・ロバック《20XX》 2013年 Courtesy: the artist and Team Gallery

そのほか、同展のコンセプトである、80年代のアートの表現と現代のつながりと変化を概観することを目的として、前床である70年代に描かれた作品から最近作までの絵画をセレクション。東京在住の作家による、あるいは東京の画廊や美術館で多く展示されていたこれらの絵画作品が70-80年代、90-2000年前半、2010年以降という大きな流れにそって展示構成される。菅木志雄、奈良美智、名和晃平などの作品が展示され、もの派、超少女、ニューペインテイング、ネオポップ、マイクロポップと呼ばれるドローイング絵画など作家たちの意識の変遷が形式の変容としてみてとれる構成となっている。

また、関連プログラムとして、「松江哲明 スクリーニング&トーク」(11月29日・12月20日)、MOT美術館講座レクチャー「YMOが切り開いた80年代文化」(12月23日)、「サーダン・アフィフ アーティスト・トーク&Her Ghost Friend クロージング・ライヴ」(2月14日)、「Her Ghost Friend ライヴ・パフォーマンス」(2016年2月10日・11日)などが開催される。なお、各プログラムの詳細やその他のイベントについては決まり次第同館HPにて告知される。