帝人、タグキャスト、セルクロスの3者は5月25日、都内で会見を開き、O2O(Online to Offline)向けに信号を面で認識できるシート型ビーコン「PaperBeacon」を開発したと発表した。
同製品はBluetooth LE(BLE)による通信とセルクロスが保有する「2次元通信技術」を活用することで、従来のビーコンと異なり、スマートフォンやタブレットを同製品の上を置くことで面としての通信を実現し、座席の位置などを特定し、テーブルなどに応じた機能を提供することを可能とするもの。
具体的には、セルクロスが保有する電磁波をシールドするメッシュ状の金属の隙間から電磁波よりも短い波長がシート表面近傍に染み出す現象(エバネッセント波)を利用することで、面での近距離通信を可能とする「2次元通信技術」を利用した通信媒体である「セルフォーム」を帝人が開発し、それにタグキャストのビーコン技術「TAGCAST」を組み合わせることで実現したという。セルフォームを採用したシートは布だけでなく、堅いシートやワイヤ状の素材も実現できるため、ウェアラブルへの適用なども考えられるという。
このシートは30cm間隔で配置しても、それぞれのPaperBeaconを認識することができ、各ビーコンが発行するIDをクラウド上にて管理することで、サービスの提供が行われる。サービス事業者側は、タグキャストのSDKを用いてアプリを開発することで、簡単にテーブルとビーコンを紐づけることができるようになる。
なお、ビーコンにはリチウムイオン電池が搭載されており、1年程度の稼働が可能。導入費用は初期費用が5000円、管理システムの運用/保守で月額800円としているが、導入台数などによって価格は変わってくるとのこと。また、想定用途は飲食店や学校などを中心に考えているとするが、グローバルに需要があるとのことで、新たな利用方法の模索なども図っていき、セルフォームビジネスとして従来のIDタグによる物品管理などと併せて2019年度で20億円としているほか、同製品単体では初年度で1万枚の出荷を目指すとしている。国内発売は6月1日からで、設計/製造を帝人とセルクロスが担当し、販売/運用/保守をタグキャストが担当する。