米Mozillaは5月12日(米国時間)、Webブラウザ「Firefox」のバージョン38の正式版(Windows、Mac、Linux)をリリースした。Windows版にAdobe Content Decryption Module (CDM)が統合され、Windows Vista以上のWindows PCでAdobeのデジタル著作権管理(DRM)技術で保護されたコンテンツの再生をサポートする。

オープンを是とするMozillaはユーザーの自由を奪うDRMに否定的な立場だが、映画・TV番組、音楽などをWeb技術で配信するサービスの利用者が増加しており、同社もFlashやSilverlightなどを追加せずにブラウザでDRM保護されたコンテンツを扱える方法の導入に踏み切った。CDMは、Firefox 38をインストールまたはアップグレードした後にAdobeから自動的にダウンロードされ、Adobe CDMを必要とするサイトにアクセスした時にアクティベートされる。CDMは挙動について公開されていない部分が多いブラックボックス状態であるため、FirefoxではデバイスのストレージやネットワークにアクセスしないようサンドボックスにCDMを包含させた。ユーザーが任意でFirefoxからCDMを取り除くことも可能であり、またCDMの導入を無効化したFirefoxも用意している。

このほかFirefox 38では、オプション(設定)がブラウザタブ型の新デザインになった。メニューやFirefoxスタートページのほか、ロケーションバー(URLバー)に各設定へのコマンドを入力することでもアクセスできる。また、特に日本のユーザーから要望が多かったというルビ(ruby、rb、rt、rp)のサポートが加わった。HTML5関連の追加は、BroadcastChannel API、DOM3 Events KeyboardEvent.codeなど。Mac版にMedia Source Extensions (MSE) APIのサブセットが導入されてYouTubeのネイティブHTML5再生が可能になった。

オプション(設定)がブラウザタブ型に

ルビをサポート

Firefox 38は、次の延長サポート版(ESR)のベースになっている。