マツダはこのほど開催された「東京オートサロン 2015 with NAPAC」にて、新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」を国内初公開した。開発担当者によるトークステージも行われ、外観・内装へのこだわりが感じられる内容となった。

東京オートサロンのマツダブースに展示された「CX-3」

東京オートサロンのマツダブースで、新型「ロードスター」とともに出展の目玉となった「CX-3」。マツダの新世代商品第5弾であり、新たな基幹車種として2月下旬以降、日本から順次グローバルに導入開始予定とされている。トークステージにはマツダのデザイン本部チーフデザイナー松田陽一氏、商品本部商品企画担当の久保裕希氏が登壇した。

「CX-5」以来の「魂動(こどう)」デザインは「CX-3」にも受け継がれており、「顔のデザインは非常にこだわっていて、精悍でハンサムな顔にしようと思って作りました。遠くの獲物を狙う動物、あるいはアスリートが試合に臨む前の緊張感などを表情として表現しています」と松田氏は言う。デザイン・性能ともに高いクオリティを追求し、「説明しなくても感じられるレベルに仕上げていこうと、つねに考えています」「写真などで見るより、実車のほうがはるかにかっこよく見えると思います」とのことだった。

「CX-3」の企画段階から携わっているという久保氏は、同車のターゲットカスタマーに関して、「自分と同じ30代くらい。独身から結婚して子供が生まれて……とライフステージが変化する中でも、自分の感性に正直なライフスタイルを楽しみたいと考える人に向けて企画しました」と説明した。

ジャーナリストも交えてトークが展開され、「CX-3」の魅力について紹介された

インテリアにもこだわりが見られ、ステージ上のモデルに関して、シートのカラーは「デミオ」で採用したものより白みが増したという。「センター部分やドアトリムに手触りの良い素材を採用し、素材の魅力をうまく表現するため、要所要所にステッチの処理を施しています。他にも随所にスタイリッシュな表現を取り入れました」と松田氏。広く感じる室内空間も特徴で、「30代をターゲットにしていることもあり、デミオより足回りや頭上の空間を広く取るなど、家族が一体となって移動できる空間設計としました」と久保氏は述べた。

ラゲッジもフレキシブルに使用可能な設計とされた。加えて「CX-3」の重要な価値としてこだわったのが乗降性。高すぎず低すぎず、「どんな体格の人が乗っても適切なポジションを探って作っています。男性女性問わず、きれいに乗降できるように徹底しました」(久保氏)とのこと。デザインと機能性が融合し、「クルマもライフスタイルもかっこいい」を求める人向けの1台に仕上がっているようだ。

側面のデザインにも特徴があり、一般的な自動車はサイドウインドウ下部が直線的だが、「CX-3」ではゆるやかに曲線を描いた躍動的なラインに。松田氏によれば、「もともとキャビンをタイトに見せたいという意図があったものの、それだと前方視界が悪くなってしまいます。ラインが下がることでミラー視界も良くなるし、ドアミラーとの隙間から横断歩道を渡るお子さんも見えるようにと考え、このラインを採用しました」とのこと。

「CX-3」の日本仕様車については、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」搭載車のみの展開となる見込み。「かなり勇気の要る決断だと思いますが、最初からさまざまなエンジンラインナップにするのではなく、一番作りたいエンジンだけに絞ったほうが、より良いクルマが作れるはず。マツダはディーゼルに自信を持っていますし、CX-3に関しても、ディーゼル1本でもうまくいくのではないかと考えています」と久保氏は話していた。