日本人のビジネススーツの着こなし、かっこいいと思いますか?

かっこいい人にくたくたにお疲れの人、カラーシャツが目立ちすぎる人に地味な人…。似たようなデザインを着ているはずなのに、感じる印象は本当にさまざまなビジネススーツ。注目してみると興味深い部分がありますよね。

日本における日常で、見かけない日はないビジネスマン。そのスーツの着こなしは、外国の方にはどう見えているのでしょうか。そこで今回、日本在住の外国人20名に「日本人のビジネススーツの着こなし、かっこいいと思いますか?」と質問してみました。

■はい、かっこいいと思います。(スペイン/30代後半/男性)
■かっこいいです。(中国/20代後半/女性)
■かっこいいと思います。(台湾/40代前半/男性)
■はい、かわいいと思う。(チュニジア/40代後半/男性)
■はい。(ロシア/20代前半/女性)
■はい。かっこいいと思います。(フィリピン/40代前半/女性)
■はい。(韓国/40代後半/男性)
■若者だとかっこいい人もいる。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■いろいろですね、若い世代ならかっこいいかな。(スウェーデン/40代後半/女性)
■今の世代の方はかっこいいと思います。(イスラエル/30代後半/女性)

まずは、好意的な回答から。「若者だと」など、世代的な評価も含まれているのが面白いですね。スーツとは、男性が仕事や普段に着用するひとそろいの洋服で、背広とも呼ばれます。本アンケートではビジネス限定なので、共布のジャケットとスラックス、ワイシャツとネクタイで基本は構成されています。ちなみにジャケットの始まりは、19世紀イギリスで生まれた「ラウンジスーツ」。それを19世紀末にアメリカのビジネスマンがビジネスの場で着始めたことで、世界的に普及しました。

日本では幕末~明治時代にスリーピーススーツが着られるようになり、その後も各時代ごとにラインやボタン数の変化を加えながら着用されています。ビジネスの場では信頼感や清潔感を重視するため、紺やグレーなどの抑えた色味が中心です。が、若い世代では細工のあるシャツやラインにこだわったスーツを選ぶ人も増加中。今回の好評価の理由としても挙がっています。ちなみに吉本興業の一部部署では、新卒社員のみスーツ着用が決まっているそう。理由は明かされていませんが、対応の柔軟さが求められる現場が多いため、「まだ勉強中です」ということを暗に伝えているのかもしれません。

■かっこいいと思いますが、真夏にジャケットを着るのはよくないと思います。(トルコ/30代前半/女性)
■いろんな色のシャツを着こなしていていいと思うが、カフスボタンやチョッキなどオシャレに気を使いすぎている時は引いてしまう。細い男性が着るスーツはあまり似合わないと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■着こなしだと、着ている人次第だと思います。(マレーシア/30代前半/男性)

好意的ながら、苦言も呈している回答がこちら。クールビズやウォームビズの施策もあり、ノーネクタイやポロシャツなどの着こなしも増えましたよね。とはいえ、銀行や不動産、一般企業でも営業など信頼感を重視する分野では、夏でも正装の人が多いようです。メッシュ地のスーツなどもあるとはいえ本当に大変そうで、トルコの方の回答も納得できます。

一方、興味深いのはイギリスの方。おしゃれなのはよいけれど会社では…というTPOに関する指摘です。ビジネス系のメンズファッション誌もずいぶん洗練されましたが「やりすぎでは!?」と思う記事もちらほら。清潔感などの意識は必要だけれど、仕事の場では仕事に打ち込んでほしい、という思いは万国共通のようです。

■普通です。もっとかっこよくできると思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■世界共通なのでふつうです。(タイ/30代後半/女性)
■あまりかっこいいとは思いません。(ドイツ/40代前半/女性)
■思いません。地味です。(ベトナム/30代前半/女性)
■ださいと思います。(アメリカ/20代後半/男性)
■かっこいいと思いません。(ペルー/30代前半/男性)

否定的な回答群。今回は中庸の意見も否定要素が強めでしたのでこちらに。控えめと地味が紙一重な点がビジネススーツの難しさ。正式の場、しかもジャケット・スラックス・ネクタイ・ワイシャツ・靴の5点で個性を出すのはなかなか大変です。毎日のことですから、費用との兼ね合いもありますよね。

ただ、仕立てのよい高級スーツをつくるメゾンがある一方で、それなりの品質とデザインを兼ねた安価なスーツを提供するお店もあるのが日本のよいところ。数年後に同じ質問をしたら、もっとよい評価になっているかもしれませんよ。

多くの人は就職活動用のスーツで、ビジネススーツの存在とその基礎を学ぶのではないでしょうか。最初はしっくりきていない様子が他人にも伝わってくるほどですが、内定が出る頃にはすっかりなじんでいるものです。入社後も同じで、経験を積むほどにしっくりくるようになるのでしょう。そういえばスーツを着ている外国の方には、こうした初心者・経験者的な印象って抱かない気がします。不思議なものですね。