2014年も残すところあとわずか。今年もたくさんのWebプロモーションが私たちを楽しませ、企業やブランドに対する消費者の共感を生みだしてきた。本稿では、広告賞の結果や紹介した記事への反響などを踏まえ、数あるWebプロモーションの中から、特に印象的であった10件をご紹介する。

本田技研工業「Honda 3D Design Archives」

本田技研工業がこれまでに発表したコンセプトカーの外観デザインの3Dデータを、特設Webサイト「Honda 3D Design Archives」で公開した。著作権基準「クリエイティブ・コモンズ4.0」にのっとり、非営利目的に限り無料でダウンロードできる。1999年に発表された「FUYA-JO」をはじめ、「FSR Concept」、「KIWAMI」、「PUYO」、「NSX Concept」の5台のコンセプトカーのデータを公開。ダウンロードすることが可能なほか、あらゆる角度に回転させて見て楽しむこともでき、全長/車幅/車高/ホイールベースの長さなども記載されている。

ドコモ「3秒クッキング 爆速エビフライ篇」

ドコモが、同社が提供する「フルLTE」の通信速度を訴求するため、エビフライを3秒で調理する様子をおさめた動画「3秒クッキング 爆速エビフライ篇」を公開。ふたつのレーンからエビが飛び出す調理装置等は全て今回の撮影の為に開発/製作され、エビが飛び出すスピードと、小麦粉、玉子、パン粉、炎、それぞれがふき出すタイミング-は、全て綿密な計算と、検証によりプログラミングされている。また、調理風景はCGを使用せず、実写にて撮影を行った。

オートウェイ「【放送事故】生配信中に・・・いきなりBAN」

輸入タイヤ・ホイールの販売を行うオートウェイが、2013年11月の公開から約3カ月でYouTube再生回数770万回を突破したWebCM第一弾「雪道コワイ」に続き、春の車検シーズンを前に、タイヤ交換の重要性を訴えるWebCM第二弾「【放送事故】生配信中に・・・いきなりBAN」を公開。

「激カワ生主がネット生配信中に起こったありえない放送事故」という動画ストーリーで、何気ない会話から始まり、突然BANとなるまでの一部始終をとらえた。動画に登場する女の子を二次元化したキャラクターを起用した"世界一カワイイ?タイヤ商品Webサイト"も公開された。

本田技研工業「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」

冒頭に続いて、本田技研工業のプロモーションから。アイルトン・セナのドライビングを、ムービーや3DCGで体験できるHondaのコンテンツ「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」が公開された。これは1989年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権日本グランプリ予選で、アイルトン・セナが「マクラーレン ホンダ MP4/5」で記録した鈴鹿サーキットの当時世界最速ラップを再現するプロジェクトだ。

このプロモーションは2013年を中心に展開されたものではあるが、「第17回文化庁メディア芸術祭」のエンターテインメント部門大賞に輝き、「第61回カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」のチタニウム&インテグレーテッド部門にてグランプリを受賞し、合計8部門で15の賞を獲得するなど、2014年中にもその余波が続いていたためラインナップに加えた。アクセル開度、エンジン回転数、車速の変化といった走行データを解析、マクラーレン ホンダ MP4/5の実車を用いて再現されたラップ1周分のエンジン音をもとに、セナの1周分の走行を光と音で再現したムービーとメイキング映像、3D-View、iPhoneアプリ「Sound of Honda」の3つのコンテンツを展開した。

本田技研工業「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」

富士ゼロックス「四次元ポケットPROJECT」

富士ゼロックスが、日本の未来を創る原動力とも言える中堅・中小企業が持つ"技術"や"ノウハウ"を組み合わせ、国民的人気まんが「ドラえもん」の「ひみつ道具」づくりにチャレンジする「四次元ポケットPROJECT」の広告展開をスタート。第一弾では、将棋の相手をしてくれて1人で対戦将棋を楽しめる「セルフ将棋」を、第二弾では、スコープで照準を合わせてしゃべると、遠く離れた相手にも声が届く「望遠メガフォン」を開発した。

SANKYO「Haruhi Hunting」

SANKYOが、パチンコ「フィーバー涼宮ハルヒの憂鬱」発売にあたって、日本全国を舞台にしたARG(代替現実ゲーム)「Haruhi Hunting」を展開。雑誌、全国のコンビニ約1万店舗、街の巨大看板、YouTube、ウェブバナーなど、日本全国にマーカー付きの「ハルヒ」のイラストを散りばめ、全707種類のこのイラストをスマートフォンで撮影してアップロードすると、劇中歌「Lost My Music」の完全描き下ろしムービーの1コマとしてウェブサイト上に反映された。「Yahoo インターネットクリエイティブアワード」のスマートデバイス広告・キャンペーン部門で金賞を受賞した。

エバラ食品工業「おくちの中の遊園地」

エバラ食品工業が、マウスではなく口で操作するウェブサイト「おくちの中の遊園地」を公開し、パソコンの画面上で疑似的に野菜を食べて、ゲーム感覚で子供が野菜と触れ合うきっかけづくりを提供。本物の野菜を食べて楽しめる "超食感"アトラクション「おくちの中の遊園地」も全国3都市の会場で開催した。このプロモーションは「コードアワード」でグランプリを受賞している。

サントリー「3D on the Rocks」

サントリーホールディングスが、好きなモノやカタチを最先端の3D技術で氷にし、ウイスキーとともに味わうプロジェクト「3D on the Rocks」を公開。ユーザーが、無料アプリ「123D Catch」で好きなモノやカタチを3D撮影し、専用サイトから応募。抽選で選ばれたユーザーは、自分だけの氷でウイスキーを愉しめるバーイベントに招待された。削り出された氷はキャンペーンサイトにアーカイブされ、ソーシャルで次々とシェアされた。こちらは「コードアワード」でベスト・キャンペーン賞を受賞した。

サントリー「オランジーナ擬人化イラストコンテスト」

サントリー食品インターナショナルが、イラスト投稿SNS「pixiv」とのコラボレーションにより、「サントリー オランジーナ擬人化イラストコンテスト」を開催。「あの夏、僕はオランジーナに恋をした。」というテーマに沿って描かれたキャラクターが5,000件以上投稿された。選出された一部の作品は、フランスで開催されたジャパンエキスポで展示された。

OK Go「I Won’t Let You Down」

最後にピックアップするのは、OK Goの新アルバム「HUNGRY GHOSTS」のミュージックビデオ「I WON'T LET YOU DOWN」。ホンダのパーソナルモビリティ「UNI-CUB」や女子高生に扮した2,400名ものダンサーたちとのコラボレーション、ワンカット長回しでの撮影などが広く話題となった。