Infineon Technologiesは、コスト効果を重視するアプリケーション向けに、はんだ接続技術を採用したバイポーラパワーモジュール「PowerBlock」を発表した。

同社は、パワーモジュールの包括的なポートフォリオを取り揃えているが、これまでの製品では、圧接方式のみが採用されていたため、今回の「PowerBlock」モジュールによって、ポートフォリオの幅がさらに広がるとしている。新たに、産業用駆動装置、再生可能エネルギー、ソフトスタータ、無停電電源装置(UPS)システム、溶接、静止スイッチなど、コストやパフォーマンスの制約のある各種アプリケーション向けに最適化されたソリューションをラインナップしている。

また、今回の「PowerBlock」と、従来の圧接方式による関連派生品との比較すると、モジュールやアプリケーションによって異なるが、市場価格を約25%抑えられることから、50mmまでの小型パッケージモジュールでは、コスト面で優位性がある。さらに、標準的な駆動装置やUPSなど、圧接方式の高い堅牢性が必須要件ではないアプリケーションに最適となっている。そして、「PowerBlock」では基板幅が20mm、34mm、50mmのタイプが用意されている。各パッケージには、5つのモジュールタイプが用意されており、サイリスタ/サイリスタTT×2、サイリスタ/ダイオードTD×2、ダイオード/ダイオードDD×1といった整流設計を容易に行えるようになっている。加えて、パッケージ寸法ごとに主要な電流定格を網羅しており、すべてのタイプで、1600Vの阻止電圧に対応している。

一方で、ソフトスタータや静止スイッチなど、高い堅牢性が常に重要な評価基準となる事例に対しては、圧接方式のモジュールを提供している。例えば、過酷な線間電圧状況下で直接動作する入力整流アプリケーションの場合、堅牢性の要件はモジュールの寸法に比例して高くなるため、高信頼性の圧接技術が要求されるという。このように、はんだ接続技術を用いた「PowerBlock」モジュールは、コスト面で最適化された標準的な産業用ソリューションに、圧接技術を用いたモジュールは、最高の信頼性を持つ高電流アプリケーションにそれぞれ適している。

この他、「PowerBlock」モジュールは、銅基板が分離しており、DCB基板のみを使用したモジュールと比べ、ヒートシンクへの伝熱時の過度熱抵抗が抑えられる。この結果、過負荷時の堅牢性が向上する。また、筐体と被覆構造が最適化されており、主端子のネジ締め時のねじれが少ないだけでなく、クラス最高のはんだ品質も実現している。さらに、ワット損が最小限に抑えられることで、システムの効率化を実現している。

なお、20/34mmモジュールは2014年第4四半期中に量産出荷を開始する。50mmモジュールは2015年第1四半期中にサンプル出荷を開始する予定。