CYBERDYNEと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月12日、CYBERDYNEの装着型ロボット「HAL作業支援用(腰タイプ)」ならびに「HAL介護支援用(腰タイプ)」が、生活支援ロボットの国際安全規格「ISO 13482:2014」の認証を日本品質保証機構(JQA)より取得したと発表した。

中央の人物が筑波大学大学院システム情報工学研究科・サイバニクス研究センターセンター長でCYBERDYNEの社長でもある山海嘉之 教授。手に持っているのが今回の2つのロボットに対する認証書

少子高齢化によって将来の労働人口の不足が懸念される日本を救う技術としてロボットに注目が集まっている。また、そうしたロボット技術の普及に向けた研究の一環としてNEDOでは「生活支援ロボット実用化プロジェクト」を進めてきており、その成果の一部として国際安全規格ISO 13482の発行ならびに認証手法の開発が行われてきた。

今回、ISO 13482の認証を受けた2つの装着型ロボットは、腰痛を引き起こす原因となる重量物を持ったときの腰部への負荷を軽減し、作業支援および介護支援を行うことを目的に開発されたもの。介護用はベッドから車いすへの移乗させるといった行動などを中心に、作業支援用は工場などでの動作などを中心にサポートプログラムが搭載されており、用途に応じて使用者の疲労軽減などを実現することが可能。新開発のロボットながら、同社が同プロジェクトに参画して得た安全設計、および認証取得に必要なデータ整備などの知見が、同認証の適合に活用された結果、いち早い認証取得を達成したという。

2つのロボットともに重量は2.9kg(リチウムイオンポリマーバッテリ含む)で、稼働時間は3時間。補助率は25~40%まで可変させることが可能だという。

今回認証を受けた「HAL作業支援用(腰タイプ)」ならびに「HAL介護支援用(腰タイプ)」の概要

すでに大林組に5台納入されており10月1日より共同運用という形で7名にて配電盤の運搬作業による実証が行われており、実際に1人で1.6~2t程度の運搬ができるようになったこと、ならびに導入以前よりも疲労が軽減されていることが確認されたとのことで、11月初めより、東京都内の拠点にて実運用を開始したという。

なお、CYBERDYNEでは、今回の認証取得をベースに、早い段階でCEマークならびに欧州での事業展開を図り、今年度で50セットの販売を目指すとするとともに、国内外の作業者および介護者の身体的負担を軽減することを目指した研究開発を行っていく計画としている。

CYBERDYNEスタッフが実際に装着した様子。指で指している部分に認証マークが見える。黄色の方が作業支援用で、白い方が介護支援用