東北大学は9月25日、マウスを用いた実験で、食事によるヒスチジン摂取が充分でないと不安様行動が増加することを明らかにしたと発表した。

同成果は同大学大学院医学系研究科の吉川雄朗 助教と谷内一彦 教授らの研究グループによるもので、米国栄養学会が出版する「Journal of Nutrition」に掲載された。

ヒスチジンは鰹や鶏肉などに豊富に含まれるアミノ酸の一種で、脳内で神経伝達物質として機能を持ち、覚醒作用や不安を和らげる作用があるとされるヒスタミンの原料となることが知られている。しかし、食事中におけるヒスチジンがどのくらい神経ヒスタミン系の生合成に重要かは分かっていなかった。

同研究グループは、ヒスチジン含有量を減少させた低ヒスチジン食または通常の食事をオスのマウスに与え、神経ヒスタミンの量やマウスの行動を比較した。その結果、低ヒスチジン食を与えたマウスでは、脳内のヒスタミン量が減少し、神経から放出されるヒスタミンの量も低下しており、不安様行動が増加したという。

今回の研究結果について同研究グループは「今後、ヒトにおけるヒスチジン摂取の重要性が明らかになれば、新たな創薬やサプリメントの開発につながることが期待される」とコメントしている。

低ヒスチジン食によるマウスの不安様行動の変化