米Intelは8月11日(現地時間)、同社の14nmテクノロジを採用した最初の製品「Core M」プロセッサ(開発コードネーム: Broadwell-Y)の概要を公開した。Haswell-Yを超える性能を実現しながら、TDP(熱設計電力)は半分以下。Coreプロセッサで、ファンレスの2-in-1 PCやタブレットを可能する。すでに量産が始まっており、年末商戦にはCore Mを搭載した最初の製品が登場する見通しだ。

Broadwellは微細化(Tick)と新マイクアーキテクチャ(Tock)を繰り返すTick-TockモデルのTickに当たる。第4世代Core (Haswell)のマイクロアーキテクチャを微細化した製品になるが、アウトオブオーダースケジューラやL2 TLBの拡張、浮動小数点乗算の高速化、アドレス予測の改善、仮想マシンのラウンドトリップの短縮など様々な改良も加えられており、IPC(クロック周波数あたりの実行命令数)が5%向上した。グラフィックスもメディアアーキテクチャの改良によってメディアサンプラーのスループットが50%、実行エンジンが20%向上している。

14nm製造プロセスのBroadwell

Intelの14nmテクノロジは第2世代のトライゲート(FinFET)トランジスタを採用している。22nmプロセスでは60nmだったフィン間隔が14nmでは42nmに、90nmだったゲート間隔が70nmに短くなっている。またフィンの高さが34nmから42nmに伸びて、フィンが高く薄くなったことで、電流の流れとトランジスタの性能が向上。この14nmテクノロジに最適化されたCore Mは電力効率が2倍に改善した。

Core Mのパッケージ面積はHaswell-Yの40×24ミリよりも50%近く小さな30×16.5ミリだ。またダイに3DLモジュールを組み込み、パッケージの厚みをHaswell-Yの1.5ミリよりも30%薄い1.04ミリに削減した。ほかにも、統合電圧レギュレータFIVR(Fully Integrated Voltage Regulator)の第2世代テクノロジで低電圧動作時の効率性を改善、システムの安定性を維持しながら効果的にクロック周波数を上げられるようにTurbo Boost機能を強化し、デューティサイクルコントロールで効率的な動作レンジを拡大するなど、様々な改善・改良によって、Coreプロセッサでファンレスデバイスを設計できるようにした。

Core M(Broadwell-Y)のパッケージ

14nm製品の製造は2014年にオレゴンとアリゾナ、そして2015年にはアイルランドのファブにも拡大される予定だ。歩留まりも順調に改善しており、第3四半期中に22nmの立ち上がり時の水準に近づく見通しで、このまま進めば2015年前半には複数の14nm製品を供給できるという。