女優・吉永小百合が、映画『ふしぎな岬の物語』(10月11日公開)で、約20年ぶりに投球を披露する。その"女優魂"がうかがえる撮影秘話が6日、明らかになった。

約20年ぶりに投球を披露する吉永小百合

吉永が投球を披露するのは、1994年のプロ野球・西武VS近鉄戦の始球式で登板して以来のこと。今回の撮影のために近所の公園で300球近くを投げ込み、時にはリハーサル終了後や合間などでも、野球経験者のスタッフを相手に休憩無しで1時間近く投げ続けることも。本番前にもキャッチボールに打ち込むほど練習に余念がなく、そのかいあって次第に投球フォームがなめらかになり、本人の希望で振りかぶるフォームにも挑戦した。

劇中で投球を披露するのは、カフェの常連客・タニ役の笑福亭鶴瓶とのキャッチボールシーン。球の勢いは、鶴瓶が驚いてNGを出してしまうほどの剛速球だったという。吉永は合間の練習で鶴瓶を「駿河学くーん」と本名で呼んだり、ヤクルトスワローズの小川泰弘投手のマネをしたりと終始リラックスムード。甲子園にも興味があるようで、「野球は大好きなので、毎年、高校野球も楽しみにしています。ハンカチ王子とマー君との試合などは、テレビの前で手に汗握って見ていました」と振り返り、「今年も夏の甲子園がいよいよ始まりますが、暑さに負けず、記憶に残るプレーを期待しています」と選手にエールを送っていた。

本作は、『孤高のメス』(2010年)や『八日目の蝉』(2011年)などで知られる成島出監督がメガホンをとり、吉永が初めて企画から参加した映画。第38回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門への出品が決まり、マスコミ向けの試写も連日満席が続いているという。原作は、作家・森沢明夫氏の小説『虹の岬の喫茶店』。のどかな太陽と海に抱かれて、独特の時間が流れる岬村に佇む・岬カフェを舞台に、吉永演じる店主・柏木悦子と周囲の人々の温かい人間模様を描いている。

映画『ふしぎな岬の物語』で共演した笑福亭鶴瓶(左)と吉永小百合