エプソンと独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は13日、香川県坂出市で、災害時に迅速に対処できる新しい防災対応システムの実現の可能性を探る実証実験を行った。

咲かしたし実証実験システム構成図

実証実験で使用した技術と製品

実証実験で持ち寄った技術と製品は、エプソンが2014年6月下旬に発売予定のスマートグラス「MOVERIO BT-200」。眼鏡のようにかけて使うウェアラブル端末で、映像がシースルー表示され実際の視野に必要な情報を重ねられる。両手が自由になる利点もある。

NICTは、超高速インターネット衛星「きずな」と、無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems: UAS)との連携システムを提供。災害時に利用できるワイヤレス通信技術で、無人航空機で被災地上空から撮影した映像を、リアルタイムで衛星回線を経由し広域に伝送できる。

実験で構築した防災対応システム

今回構築した防災対応システムは、まず無人機が災害現場を俯瞰して撮影し、映像や撮影した位置情報を、NICTの無線技術を介しほぼリアルタイムで地上の災害対策本部などに転送。

このデータを、エプソンのMiracast対応ワイヤレスアダプタ「ワイヤレスミラーリングアダプタ」から「MOVERIO」を着用した災害現場の救助隊員たちに転送。目の前の状況と上空からの映像を同時に確認できる。これにより、現場でより正確な判断を素早く下すことが可能になる。

今回の実験は成功し、これらのシステムが計画通りに情報を伝達することを実証できたという。加えて、無人航空機の遠隔操作の際に「MOVERIO」を活用する方法も検証。通常は専用のコントローラで無人航空機を操作するのだが、操作時は無人機からコントローラ画面に視線を移さなければならないため、無人機を見ながらの操作が行えないという課題があった。「MOVERIO」を使うことで視野の中に半透明のコントローラー画面が投映されるので、上空の無人機の位置を目視で確認しながら専用コントローラーを使った操作が可能になった。

今後、両者はさらに実験や開発を重ねることによって、将来的な実用を目指していくとしている。