米Googleは3日(現地時間)、64ビット版のGoogle Chromeをリリースした。編集時点では、開発者向けのDevチャンネルおよびCanaryチャンネルで提供している。Canaryは、Devチャンネルリリース相当のバージョンを同時にインストールするビルドだ。

64ビット版Google Chromeのリリース記事は、オープンソースのWebブラウザ「Chromium(クロミウム)」の公式ブログに掲載された。Google ChromeはChromiumのソースコードをベースに開発してきた経緯がある。

Canaryビルド版Google Chrome。日本語にも対応し、外見上は32ビット版と同じだ

プロセスをProcess Explorerで開くと、64ビットプラットホームで動作していることを確認できる

記事を投稿したWill Harris氏は、64ビット版の利点として「速度」「セキュリティ」「安定性」の3つを並べた。速度面は最新のプロセッサとコンパイラの最適化により、グラフィックおよびマルチメディアコンテンツの再生時に平均25%の改善がみられるという。

セキュリティ面では、Windows 8で搭載された"High Entropy ASLR"を利用することで、ASLR(アドレス空間配置のランダム化)の範囲を拡大し、隙間を狙ったJITスプレーなどの新たな攻撃手法に対抗可能となった。

安定性は、32ビット版Google Chromeよりも高く、レンダラープロセス(Webコンテンツの処理)に関するクラッシュ率はほぼ半分に減ったそうだ。

Harris氏は「Windows 7以降のユーザーの大半は64ビットアプリケーションを実行するシステムを持っている」と64ビット版リリースに至る理由を述べ、「安定版/ベータ版に64ビット版Chromiumの利点をもたらすため、多くのフィードバックを楽しみにしている」とユーザーの参加を求めた。

Canaryビルドはセカンダリインストールされるため、既定のGoogle Chromeとの共存も可能。ただし、標準Webブラウザには指定できない