松谷化学工業は5月12日、名城大学薬学部の豊田行康 准教授、香川大学医学部の徳田雅明 教授らとともに、希少糖(レアシュガー)の一種「プシコース」の肝グルコキナーゼの核外移行促進により血糖値上昇抑制作用があることを、ラットを用いた研究において確認したと発表した。

また、研究グループは併せて「プシコース」の長期摂取が肝グルコキナーゼの核外移行を促進し、グリコーゲン量を増加させ、内臓脂肪蓄積抑制が起こることも確認したと発表した。

これらの詳細は5月22日より開催される「第57回 日本糖尿病学会年次学術集会」にて報告される予定。

血糖値上昇抑制作用は、Goto-Kakizaki雄性ラット(8週齡)に2g/kgグルコース(ぶどう糖)、0.2g/kgプシコースあるいは0.2g/kgフルクトース添加2g/kgグルコースを単回経口投与し、経時的に門脈および尾静脈血中のプシコースおよびフルクトース濃度、血糖値、肝グルコキナーゼの核外移行量を調査。その結果、プシコース濃度は投与後60~90分に頂値となり、その後徐々に低下していくことが確認されたほか、フルクトース濃度は投与後30分に頂値となり、その後急激に低下することが確認された。肝グルコキナーゼの核外移行は、それぞれの糖濃度の推移と一致してプシコースの方がフルクトースより持続し、プシコースの血糖上昇抑制作用はフルクトースより有意に強いことが示されたとのことで、この結果から、研究グループはプシコースは耐糖能異常者や2型糖尿病患者に有用な単糖と考えられるとコメントしている。

一方の内臓脂肪蓄積抑制は、Wistar系雄性ラット(6週齡)に3.75%のプシコース溶液または対照群として水を10週間自由飲水下で摂取させ、AIN-93Gを飼料として実施したもので、摂取期間終了後、インスリン感受性試験および糖負荷試験を行い、尾静脈血糖値およびインスリン濃度、肝グルコキナーゼの核外移行、肝グリコーゲン量の調査を行った。その結果、プシコース長期摂取により耐糖能およびインスリン感受性の増強および内臓脂肪量の減少が認められたという。

なお、この結論を受けて研究グループでは、プシコース長期投与により持続的なグルコキナーゼの核外移行およびグリコーゲン量の増加が起こり、それらと共に内臓脂肪の蓄積抑制が起こることが示されたという結果は、プシコースの摂取が糖尿病および肥満症の予防に有用と考えられるとコメントしている。