日立金属は3月12日、希土類を用いた高性能な磁石(レアアース磁石)の生産過程で発生する加工くず(スラッジ)から、レアアースと鉄を回収できる新たなリサイクル法「炭素熱還元法」を開発したと発表した。

従来のレアアースの回収方法である湿式法は、酸、アルカリを大量に使用するほか、ホウ素を含有する廃水が生じてしまうといった理由で環境への影響が懸念されていた。また、抽出後の残渣(残りかす)には鉄分が多く(10tに対して約7t)含まれるにも関わらず、回収することなく産業廃棄物として埋め立て処理となっていた。

今回の炭素熱還元法は、焼成したスラッジを鉄鉱石に見立てて炭素と一緒に加熱することで、レアアースをスラグ(スラッジ上に浮上する物質)として回収する。同社は、試験結果によりレアアースの抽出にかかる時間が従来の湿式法に比べて短く、回収率も高くなることを確認したという。残った鉄くず(酸化鉄)は、銑鉄として再利用できる。

また、炭素熱還元法は酸の使用をホウ素抽出時のみで、除湿法に比べて環境への負荷を低減できるという。同社は、2014年度中をめどに炭素熱還元法の実用化の検討を進めるとしている。