偉人の誕生日や記念日などを祝うため、その日限定で特別なデザインとなるGoogleのロゴ「Doodle」。本日3月4日は、鳥瞰図絵師・吉田初三郎の生誕130周年を記念したデザインとなっている。
吉田は、1884年3月4日生まれ、「大正広重」とも呼ばれた鳥瞰図絵師。幼少期から絵を好み、友禅の図案工などを経て、洋画家を志して関西美術院長の鹿子木孟郎に入門した。その後、師から商業美術家への転向を勧められたこと、1913年に刊行された京阪電車の沿線案内図が皇太子(のちの昭和天皇)の賞賛を受けたことから、パノラマ風の観光案内図の制作を手がけるようになった。
また、左右の端をU字型に曲げて大胆なデフォルメを施した吉田の鳥瞰図は「初三郎式鳥瞰図」と呼ばれ、鉄道旅行の発達に伴う観光ブームの中で人気を博した。独特の画風のみならず、徹底した事前調査やフィールドワークに基づいた制作を行うことで知られ、吉田が見いだした景勝地も少なくないという。しかし、第二次世界大戦が起こり、吉田の描く鳥瞰図は軍事機密が見て取れ、地政学上好ましくないという軍部の判断が下ったことから不遇の時代を迎える。そして戦後、広島図書から依頼を受けた吉田は被爆地広島へ赴き、5カ月にもわたる取材で数百名の被爆者の証言を得て、原爆の被害状況を鳥瞰図に描いた「原爆地広島八連図」を制作した。