千葉大学は1月8日、難治がんの1つとして知られる膵臓がんに対し、外科切除を行った患者に膵臓がんが再発した際に、再発部位が残った膵臓部分(残膵再発)であれば、再度の外科切除を行うことで、生存期間を延長できるという研究結果を発表した。
同成果は同大医学部附属病院の病院長である宮崎勝・肝胆膵外科教授らによるもの。詳細は「Surgery」の2014年1月号に掲載される。
膵臓がんは外科切除を行っても、約8割の患者に再発が見られるが、再発後の手術は身体への負担が大きいことから、化学療法を中心とした治療に限定されており、効果が限定的であることから、難治がんの1つとされている。
こうした課題に対し、千葉大学病院では、再発した場所が、外科切除後に残った膵臓部分であれば、再度、外科切除の手術を行うことが有効との考えから、化学療法と外科手術を組み合わせた治療法に取り組んできたという。
これまでに11の症例があり、世界1位の症例である独ハイデルベルグ大学の24症例に次ぐものだという。千葉大学病院の取り組みでは、そのいずれもが、再切除しなかった場合に比べ有意に生存期間の延長が認められたという。また、手術後の合併症発生率も27%と低く抑えられているほか、合併症による死亡も認められなかったことから、安全に手術ができたことも確認されたという。
なお、宮崎院長は、今回の成果について、「こうした治療がすべての患者に当てはまるわけではないが、例え進行した膵臓がんや、その再発であっても、あきらめずに治療することで改善できる可能性が示された」とコメントしており、患者と主治医がコミュニケーションをとり、がんに挑んで行ってもらいたいとしている。