Silicon Laboratories(Silicon Labs)は12月5日、高い電力効率と使いやすさを兼ね備えた相対湿度(RH)および温度センサ「Si701x/702x」ファミリを発表した。

同ファミリは、標準的なCMOSミクスドシグナルICに、ポリマー誘電体フィルムを使用して湿度を計測する技術を組み合わせている。これにより、ホームオートメーション、HVAC、冷凍、ヘルスケア、遠隔モニタリング、自動車、工業計器といった分野で高精度にRH検知できる。さらに、同社の省エネルギー対応マイコンおよびワイヤレスICの広範なポートフォリオと組み合わせることで、Internet of Things(IoT)への幅広い接続デバイスの環境条件を測定、制御、レポートするソリューションを実現する。

個別部品を使用した一般的なソリューションでは、必要な構成部品(BOM)の数やPCB面積が増え、信頼性が低下し、異物混入リスクが高まる。また、PCBアセンブリ中にRH/温度のキャリブレーションを行う必要がある他、表面実装テクノロジ(SMT)による製造に対応してない。RHセンサモジュールのサプライヤは、これらの製造上の課題を解決しようと努力しているが、システムコストが高まる上、信頼性や異物混入リスクの改善は見られない。

これに対し、同ファミリでは製造コストと複雑さを低減しながら、使い勝手の良いソリューションを実現する。BOMコストが非常に低く、完全にキャリブレーション済みでSMTに対応する。集積型CMOSデザインにより長期的信頼性が高く、オプティカルフィルタカバーにより異物混入に対する保護効果を向上させた。また、工場取り付けのカバー(IC上部にテフロン薄膜をシーリング)により、PCBアセンブリ中にセンサを保護するだけでなく、デバイスの全使用期間を通して検出部品を動作中のチリ、ホコリ、洗剤から守る。

さらに、低電力消費を実現。電源電圧3.3V、解像度8ビットで動作し、1秒当たり1個のサンプル検出時、平均のオンチップ消費電力は1.9μWで、競合他社のRHセンサと比べて、最低で1/6の消費電力とした。このため、電力要件が厳しいアプリケーションに最適であり、電池寿命の延長に寄与する。そして、高いRH検出精度を持つため、精度要件の厳しいRHおよび温度検出アプリケーションに適している。湿度範囲は0~80%RHで±3%のRH最大精度、温度範囲は-10~85℃で±0.4℃の最大温度精度を保っている。加えて、「Si701x/702x」ファミリは、年間0.25未満の長期RHドリフトを持ち、長期的なRH精度に優れている。

同ファミリは、2ゾーンの温度計測機能をサポートする集積型RH/温度センサ製品で、「Si7013」は、プログラム可能な線形化によって第2ゾーンの温度検出をサポートしているため、システムに追加のA/Dコンバータ(ADC)や補償ソフトウェアを導入する必要がない。第2ゾーン温度センサを必要とするサーモスタットなどのアプリケーションでは、「Si7013」を用いて外付けのサーミスタのアナログ電圧を効率的に計測できるようになった。

なお、パッケージは、市販されている他のデジタルRHセンサとピン互換の3mm角QFN。価格は1万個購入時で2.13ドルから。すでに量産を開始している。また、「Si701x/702x」ファミリ用テスト、キャラクタライゼーション、プロタイピング、ソフトウェア開発を支援するハードウェアおよびソフトウェアツールとして、「Si701x/702x」ファミリのデモおよび評価を行うのに必要な全てを備えたUSBベースの評価キット「Si7013USB-DONGLE」が49ドル。同社の「C8051F960-A-DK MCU」開発キットと連携して、センサを容易に評価できるドータカード「Si7013EVB-UDP」が49ドル。開発キット「C8051F960 MCU」と1枚のドータカードが携帯デモプラットフォーム(PC不要)の中に組み込まれ、データロガーのデモコードが付属する開発キット「Si7013EVB-UDP-F960」が149ドルで供給されている。

相対湿度(RH)および温度センサ「Si701x/702x」ファミリのパッケージイメージ