カルピスは12月2日、通常の治療に加えて「L-92乳酸菌(Lactobacillus acidophilus L-92)」を継続的に摂取することで、食物アレルギーを合併している乳幼児のアトピー性皮膚炎の湿疹を緩和する傾向と、皮膚の炎症マーカーが低下することを確認したと発表した。
同成果は同社 発酵応用研究所および、NPO法人アレルギー支援ネットワーク、あいち小児保健医療総合センターの伊藤浩明 内科部長、同アレルギー科の中田如音 医師らによるもの。詳細は「第63回 日本アレルギー学会」にて発表された。
近年のアレルギー研究において、乳酸菌がその症状緩和に有用であるとの報告が多数なされるようになってきた。また、乳幼児期にアレルギーになりやすい体質があると、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患が重複して発症することが多く、早期の適切な治療が重要だと言われるようになってきており、研究グループは今回、そうした症状の治療補助効果がL-92乳酸菌にあるのか否かの調査を行った。
具体的には、2011年/2012年6~8月にあいち小児保健医療総合センター アレルギー科を受診した生後10カ月~3歳未満の、食物アレルギーを合併するアトピー性皮膚炎の患児59名(平均年齢1.8歳)を対象に、アトピー性皮膚炎の標準治療に加え、「L-92乳酸菌」の粉末食品を6カ月間毎日20mg摂取する群と、摂取しない対照群に分け、その効果を比較する試みを実施。それぞれの群に対し、摂取開始前、摂取開始から1、3、6カ月後に、SCORAD(アトピー性皮膚炎症状スコア)、血中マーカー、患児やその親の生活に関するアンケートによる調査を行った(調査期間は2011年6月15日~2013年3月31日)。
その結果、「L-92乳酸菌」を20mg摂取した群はSCORADの変化について改善傾向が認められたほか、同群は対照群と比べ6カ月間摂取後の血液中の総IgEの量が有意に低下していることも確認された(p<0.05)。
また、同群では、対照群と比べ6カ月間摂取後のTARCの値も有意に低下していることも確認された(p<0.05)。加えて、L-92乳酸菌の継続摂取による有害な事象は認められなかったという。
今回の成果を受けて研究グループでは、L-92乳酸菌が乳幼児のアトピー性皮膚炎に有効に働く可能性が示唆されたとしており、今後は、今回の調査結果を参考として、高齢者などすべての年代の方のアトピー性皮膚炎に対する有効性を評価するなど、アレルギーに対する有効性をさらに明らかにするとともに、L-92乳酸菌のはたらくメカニズム解明のための検証を進めていく予定としている。