11月30日より劇場上映されるアニメーション作品『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』の完成披露上映会が18日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、黄瀬和哉総監督、シリーズ構成・脚本の冲方丁、『border:2』の竹内敦志監督、バトー役松田健一郎、サイトー役中國卓郎、製作総指揮の石川光久社長が舞台あいさつに登壇した。

左から黄瀬和哉総監督、冲方丁氏、竹内敦志監督、松田健一郎、中國卓郎、石川光久社長

『攻殻機動隊ARISE』は、士郎正宗氏の原作コミックを押井守氏、神山健治氏ら名だたるスタッフがアニメ化してきた『攻殻機動隊』シリーズの最新作。数多くの歴代シリーズで作画監督やキャラクターデザインを担当してきた黄瀬総監督のもと、シリーズ構成・脚本に冲方氏を迎え、キャスト陣を一新して製作された新たな『攻殻機動隊』となる。全4本予定の劇場版の各作品に監督を置く構成で、『border:2』は竹内敦志が監督を務めている。

この日の舞台あいさつでは、プロダクションI.Gの石川社長が「プロダクションI.Gの歴代アクション作品の中で、ナンバーワンです。今までアニメが実写を目指してると思っていましたが、実は実写の映画がこの映像の世界を目指しているんだと感じました」と口火を切ると、黄瀬総監督も「今回はかなり作業を(竹内監督らに)任せていたので、初号を見てできあがりに驚きました」と賛辞を惜しまない。あまりの絶賛に竹内監督も「とんでもないです、(黄瀬総監督と冲方の)2人の胸を借りるつもりで作りました」と苦笑いで謙遜。今回の見せ場のひとつとなった多脚戦車がビル内を立体的に動きまわるシーンは、95年の初映像化当時から温めていたものであることを明かしていた。

『border:2』の完成までに、黄瀬総監督が「とりあえず九課のメンバーを集めないと」とざっくり説明すると、冲方氏が「限られた尺で公安9課の誕生までを描く時、9課対9課にすれば両方のキャラクターを出せるし、今までにないものが見せられると考えました。ヒーローを作るには"彼・彼女にしか解決できない状況"が必要なんですが、サイバーパンクの世界ではハッキングを介して、社会対個人という状況が実現できるのが強みですね」と丁寧に解説。さらに冲方氏は「素子がリーダーとして認められていく物語なので、素子対9課メンバーのようになってますが、素子はまさに(ヒロインではなく)ヒーローです」と主人公・素子への想いを語った。

そんな草薙素子にやられる側となったバトー役の松田は「バトーは一生素子には勝てないと思いました」と苦笑い。「師匠である沢木(郁也)さんがソガ役で出演していることもあり、緊張しました。アフレコ前は自問自答でしたね」と振り返った。『border:2』からサイトー役として参加した中國は「転校生のような気持ちでしたが、温かい空気のスタジオで、楽しくてあっという間でした。みんな難しい台詞が多い中、サイトーは悪態をついてたらいいから良かったです」と会場を笑わせていた。

そして石川社長からは「『border:2』は圧倒的なアクションを作ろうとした作品ですが、『border:3』では本物の『ARISE』を作ります。冲方も作家声明を賭けています!」と煽りに煽った次作への期待が寄せられる。思わず苦笑いの冲方だったが、「全く予想していなかった形を黄瀬総監督から示されました」とそれに応えるコメントを残した。

舞台あいさつ後のフォトセッションには、腕や太ももの中身がむき出しになった、全身義体メイクのモデルが登場。この義体メイクは、11月29日~30日に新宿東口駅前ステーションスクエアで行われるイベント"攻殻LABO~新宿「義体化」計画~"にオープンする"義体屋"で無料体験できるという。詳細は公式サイトで告知される。

『攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers』は11月30日公開予定。