ライフロボティクスは11月5日、肘関節をなくし直動伸縮機能を採用したロボットアームとして、被介護者の自立生活支援用「Robotic Arm for Persons with Upper-limb Disabilities(RAPUDA)」と、次世代人間共存型産業用「Next Generation Robotic Arm for Human-robot Coexistence(NECO)」の2種類を発表した。2014年4月より販売を開始する。

「RAPUDA」は、被介護者・被介助者の自立支援を支えるためのロボットアームであり、自立することもベッドや車いすなどに着脱することも可能で、操作は被介護者・被介助者の症状に合わせ、PC用のテンキ―、ゲームパッド、ボタンスイッチなどさまざまな入力装置で操作ができるほか、飲料を飲む、テレビのリモコンを操作する、といった身の回りの動作を、介護者・介助者に頼ることなく実施できる。

一方の「NECO」は、主に製造業で用いられる産業用ロボットアーム。小型で安全な設計のため、作業員の近くや狭い空間でも安全柵不要で使用することができ、これにより、作業員の代わりに工程に合わせて部品を動かすといった作業が可能となるため、作業員が高いスキルを必要とする複雑な作業を担当し、NECOが単純な作業を担当するといった分担を行うことで、製造コストの削減を図ることができるようになる。

両製品ともに、"人の近くで安全に動作する"、"誰でも専門知識なしに簡単に動かすことができる"の2つを基本コンセプトにしている。従来のロボットアームは人間の腕と同様に肘関節を持つが、"肘関節の動作が大きく周囲の物と衝突する危険"、および"可動範囲内に構造上動作できない場所(特異点)がある"というデメリットがあった。これらを解消したのが、産業技術総合研究所(産総研)の研究によって開発され、同社が特許を取得した直動伸縮機能だという。肘関節をなくすことで特異点が消滅し、動作範囲が広がるため、誰でも安全かつ直感的に操作することが可能となった。

これまで、ロボットアームでは、位置や速度の制御にはサーボ機構を用いたACサーボモータを使用するのが一般的だった。しかし、ACサーボモータ用モータドライバや従来のステッピングモータ用モータドライバは、高重量・大型のためロボット内に実装することができなかった。この問題を解決するため、オリエンタルモーターと共同で、パルス指令に同期して動作する小型・軽量のステッピングモータシステムを開発。これにより、モータドライバを含めたアーム全体の重さを9.0kgと、同様の可動範囲を持つ製品と比べ約70%軽量化したのに加え、価格も安価に抑えた。また、ステッピングモータは、ステップ角に応じた位置制御となるため、位置や速度のサーボ機構が求められるロボットアームには搭載が難しかったが、今回開発したステッピングモータシステムでは、電源をオフしてもバッテリーレスで位置を記憶できるアブソリュートエンコーダを搭載し、独自のサーボ機構を実現している。さらに、ACサーボモータは接触や衝突などの外乱により、高トルクが発生する危険を生じさせるが、ステッピングモータは最大トルクが決まっているため、人との共存環境下において高い安全性を実現したという。

「RAPUDA」によるコップの保持

「NECO」による基板のはんだ付け検査