安倍晋三首相は1日夜、臨時閣議後に会見し、2014年4月から消費税率を現在の5%から8%に引き上げることを表明した。消費税率の引き上げは1997年4月以来17年ぶりとなる。
首相は、会見で「足下の経済は、次元の違う3本の矢の効果で回復の兆しを見せている」と強調。消費税率の引き上げを決断した理由については、「15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドが変化しつつある。大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものとすることにより、経済再生と財政健全化は両立しうる。これが熟慮した上での結論」と話した。
増税分で得られた税収の使途については、「社会保障にしか使わない」と明言した。
復興特別法人税を1年前倒しで廃止するかどうかについては、「廃止が賃金上昇に繋がっていくことを踏まえた上で12月中に結論を得ることにしたい」と話し、「復興財源はしっかりと確保していくことが前提である。安倍政権において19兆円から25兆円に増やした復興財源を減らすことはない」と言明した。法人税の実効税率の引き下げについては、「与党において速やかに検討を開始してもらう」と述べた。
また、2015年10月に消費税率を10%に引き上げることについては、「経済状況等を総合的に勘案して、判断時期も含めて適切に判断していきたい」と話した。
政府は今回の決定を受け、5兆円規模の経済対策を実施することを閣議決定。消費税率の引き上げによる反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応するとともに、経済成長力の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげるとしている。
低所得者対策として、市町村民税非課税者2,400万人に1万円、65歳以上の老齢基礎年金受給者などに1万5,000円の現金を支給。また、給与収入が約500万円以下の住宅購入者を対象に10~30万円を支給するとともに、被災地には標準的な負担増加額を支給する。
企業に対しては、設備投資減税・研究開発減税、事業再編促進税制、ベンチャーファンドへの投資を促す税制等について、所要の措置を講ずるとしている。
さらに競争力強化策として、中小企業向けの設備投資補助金をはじめ、エネルギーコスト対策、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた交通・物流ネットワークの整備、競争力強化・イノベーションにつながる重点課題の研究開発、地域活性化のための農業の6次産業化の推進などを実施する。