阪堺電車初の低床式車両「堺トラム」が25日、阪堺線我孫子道~浜寺駅前間でデビューする。運行開始記念セレモニーの後、浜寺駅前駅14時8分発の電車から運行開始となる。

阪堺線に導入される超低床車両「堺トラム」(写真手前の車両)

阪堺線の堺市内区間は、市の中心部を貫く路線であるものの、長期にわたる利用者減少によって存廃の危機に直面するに至った。堺市は利用者拡大・安全対策・高度化といったさまざまな面から支援を行うこととし、その一環で超低床車両の実現に取り組んできた。

阪堺電車の従来の車両は、停留場との段差が約40cmだったが、「堺トラム」では段差が約5cmとなり、誰もが利用しやすい車両に。外観は緑(阪堺電車や百舌鳥古墳群をイメージ)と白茶(堺にゆかりのある千利休の「わび」をイメージ)をベースに、アクセントとして黒のライン(「堺刃物」をイメージ)やシャンパンメタリックを取り入れた。このカラーデザインは「茶ちゃ」と呼称されている。

車内においては、随所に木材が使用されたほか、木目柄・和紙柄の化粧板やすだれカーテン、電球色ダウンライトなど、落ち着いた和のイメージを表現。「堺更紗」をモチーフとしたシート柄で、華やかさも演出したという。

段差が少なく、高齢者やベビーカー利用者などにも便利な「堺トラム」。外観・内装ともに和をイメージしている

同車両は25日から営業運転を開始し、その後は週5日程度(火曜・金曜は運休)の運行となる予定。阪堺線我孫子道~浜寺駅前間で1日4~5往復運行される。大阪市内への本格的な乗入れは来年春頃から。なお、今年度内に2編成目の導入も予定しているとのこと。