日本政府観光局(JNTO)は19日、2013年5月の訪日外国人数(推計値)を発表した。それによると、5月の訪日外客数は前年同月比31.2%増の87万5,000人で、2008年の73万6,000人を上回り、5月として過去最高を記録した。
月間訪日外客数としては、2013年4月の92万3,000人、2010年7月の87万8,000人に次ぐ、過去3番目の外客数となった。円安や航空座席の供給量拡大、継続的な訪日旅行のプロモーション効果により訪日意欲が高まり、外客数が大幅に増加したと考えられる。
国・地域別では、台湾が前年同月比61.7%増の19万5,700人、香港が同82.2%増の5万9,200人、タイが同67.8%増の4万300人、シンガポールが同24.5%増の1万6,300人、マレーシアが同17.8%増の1万5,000人、インドネシアが同39.3%増の9,900人、ベトナムが同32.2%増の5,500人、米国が同13.5%増の7万4,000人、ロシアが同60.5%増の5,100人と、9カ国で5月として過去最高を更新。また、インドは同23.6%増の8,400人となり月間で最も多くなった。
このほか、韓国は前年同月比45.5%増の22万8,700人、オーストラリアは同21.8%増の1万6,000人、フランスは同29.3%増の1万2,900人、ドイツは同16.7%増の1万人などとなり、多くの国で2ケタの伸び率を記録。一方、中国は日中関係の冷え込みが影響し、同27.2%減の8万1,600人となった。
各国の状況を見ると、台湾は、地方旅行の人気を背景に訪日旅行への高い需要が続いているほか、円安効果でショッピングを目的とした旅行の人気が高まっているという。香港は、仏誕節(5月17日)による3連休と近距離の海外旅行をしやすい環境だったことや、前月から続く航空会社によるプロモーション料金の設定が訪日旅行者の大幅増加に寄与した。
米国は、2012年秋以降に日本への直行便が就航する都市で実施してきたプロモーションが、円安による滞在コスト減少という追い風を受けて訪日旅行者が増加。オーストラリアは、ビジット・ジャパン事業(以下、VJ事業)による店頭やオンラインでの訪日旅行のプロモーションと円安が相乗効果を生み、訪日旅行者が増えた。
フランスは、VJ事業で実施してきたオンライン、雑誌、テレビなどの媒体への露出以外に、旅行会社などとの協同広告によるプロモーションが訪日旅行の需要拡大につながった。ドイツは、放射能に対する懸念が薄れつつあるほか、円安で低価格のツアーが市場に出回るようになっており、訪日旅行をしやすい環境が整ってきたと分析している。