NVIDIAは5月22日(米国時間)、Citrix XenDesktop 7搭載の「NVIDIA GRID vGPU」を投入し、エンタープライズ各社がデスクトップ仮想化でグラフィックスをフル活用できる状況が整ったことを発表した。

最近の企業は、社員が個人所有のノートパソコンやポータブル・デバイスを仕事で使う機会が増えているが、そうした機器を用いて社内のコンピューティング資源にアクセスする場合、デスクトップ仮想化テクノロジを利用することが多い。こうした手法は、これまで、BIM(建築情報管理)やPLM(製品ライフサイクル管理)、動画や写真の編集といったアプリケーションに対して、パフォーマンスと互換性の問題から活用が難しかったことから、標準的なエンタープライズ・アプリケーション以外にはあまり普及していなかった。

また、デスクトップ仮想化ソリューションは専用グラフィック・ハードウェアを持たないため、CPUに負荷がかかりやすく、パフォーマンスやソフトウェア・エミュレーションに問題が生じ、アプリケーションの互換性が低下してしまうという課題があった。

こうした課題の解決として、仮想化されていないGPUがCitrix XenServerに搭載されるようになったが、各ユーザが専用GPUを装備する必要があったことから、効率向上は限定的なものとなっていた。

今回、共有と高い圧縮が行える新しいHDX GPU技術がXenDesktop 7に搭載されることで、NVIDIAとCitrixの両方のユーザであれば、ホスティングして共有する形式のデスクトップ仮想化により、リッチでグラフィックス・インテンシブなアプリケーションを簡単に扱うことが可能になるという。

具体的には、Microsoft Windows Server RDSHとXenDesktop 7プラットフォームを使うことで、複数のユーザ・セッションでGPUが共有できるようになったほか、複数の仮想マシンでGPUを効率的に共有することが可能となり、これによりデスクトップ仮想化インフラストラクチャの上流から下流まで、さまざまなユーザがGPUコンピューティングの恩恵を受けることが可能になったとNVIDIAでは説明しており、主に以下のようなことが可能になるとしている。

  • Autodesk BIMなどのCADツールを使うアーキテクト、エンジニア、コントラクタなど
  • Enovia 3DLive、PTC Windchill PLM Connector、SIEMENS TeamcenterなどのPLMツールを使うメーカー各社
  • Adobe Photoshopソフトウェアなど、動画や写真の編集を行うツールを使うコンテンツ制作担当者
  • GE Centricity EMRなどのPACS(画像保管・通信システム)アプリケーションを使うヘルスケア系プロフェッショナル

なお、NVIDIA GRID vGPUテクノロジーの一般販売は、年内に開始される予定だという。

Citrix XenDesktop 7搭載の「NVIDIA GRID vGPU」のイメージ