上映会の様子。(左から)吉田尚記アナウンサー、長濱博史監督、植田慎一郎、伊瀬茉莉也、日笠陽子。

押見修造原作によるTVアニメ「惡の華」の第1回上映会が、去る3月21日、科学技術館サイエンスホールにて行われた。

全編を実写トレースするロトスコープという技法を用いて作られたアニメ「惡の華」。会場ではアニメのPVが流れたのち、長濱博史監督と司会の吉田尚記アナウンサーが登場した。長濱監督はロトスコープという技法について聞かれると、「スキャナー・ダークリー」などこの技法が使用された作品名を挙げて解説。ディズニー映画は1秒間に12枚を使用するフルアニメーションだが、「惡の華」では、あえて1秒間に8枚しか使用しないリミテッドアニメーションを選んだとも説明した。

また楽器演奏シーンなどアニメの一部にロトスコープを使用することはあっても、全編ロトスコープのアニメは手間と予算の面から前例がないと解説。長濱監督は「手間はかかるが、もう実写は全部撮ってしまったので、逃げようがない」と笑ってみせる。

第1回の上映が終わったあと、長濱監督と吉田アナが再び登壇し、春日高男役の植田慎一郎、仲村佐和役の伊瀬茉莉也、佐伯奈々子役の日笠陽子らキャスト陣が呼び込まれた。声だけでなく実写での演技も務めた植田は、先日桐生で行われた上映会で初めて完成を見たため、今回は2回目の視聴。感想を聞かれると、「初めて見ると画の動き方に違和感があると思うんですが、2回目がとにかくすごいです!」と興奮気味にコメントした。

伊瀬は「アフレコをしているときは実写に合わせてやっているので、外国映画の吹き替えのような感覚でした。でも実際に(完成したものを)見てみると『アニメだ』と感じて、ジャンルがないという衝撃を覚えました」と感想を述べる。そして日笠は「絵がすごい。普通のTVアニメーションの領域を超えている絵の作り方」「私たちが芝居を本気でやるのと同じく、絵の人の本気を見る部分が多すぎる」と語った。

アニメ「惡の華」は4月初旬よりTOKYO MXほかにて放送がスタートする。なおコミックナタリーでは、押見修造と長濱監督との対談記事を公開中。