厚生労働省は12日、「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の結果を発表した。同調査は、7月~9月の期間に郵送ならびにインターネット上にて行われ、従業員(正社員)30人以上の企業4,580社および民間企業に勤務する男女9,000名から有効回答を得た。

同調査で、過去3年間のパワーハラスメント(以下、パワハラ)についての経験の有無を尋ねたところ、4人に1人となる25.3%が「経験あり」と回答。このうち、46.7%がパワハラを受けた後、対応策を「何もしなかった」と答えたことがわかった。このほか、「自分の周辺でパワハラを受けているのを見たり、相談を受けたことがある」人は28.2%、「パワハラをしたと指摘されたことがある」人は7.3%だった。

過去3年間にパワハラに関する相談を1件以上受けたことがある企業は45.2%で、実際にパワハラに該当する事案のあった企業は32.0%。また、企業の80.8%が「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」だと感じている一方、予防・解決に向けた取組を行っている企業は45.4%にとどまり、特に従業員99人以下の企業では18.2%と2割に満たなかった。

パワハラの内容を調べたところ、企業調査、従業員調査ともに「精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)」が圧倒的に多いことが判明。企業調査においては、トップの「精神的な攻撃」が69.6%となり、以下、「人間関係からの切り離し」が21.2%、「過大な要求」が16.8%、「個の侵害」が15.4%、「身体的な攻撃」が14.7%、「過小な要求」が7.2%と続いた。

パワーハラスメントの具体的な内容(出典:厚生労働省Webサイト)

従業員調査では、同じく「精神的な攻撃」が55.6%で最多。次いで、「過大な要求」が28.7%、「人間関係からの切り離し」が24.7%、「個の侵害」が19.7%、「過小な要求」が18.3%、「身体的な攻撃」が4.3%となった。

パワハラの内容を性別・年代別に見た場合、女性や20歳代では「人間関係からの切り離し」(女性29.0%、20歳代30.8%)、「個の侵害」(女性23.2%、20歳代26.2%)が高い。それに対して、男性や30歳代では「過大な要求」(男性31.2%、30歳代33.3%)が高くなっており、性別や年代で内容が異なることがわかった。

企業調査において、パワハラに関連する相談がある職場に共通する特徴を調べたところ、最も多かったのは「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」で51.1%。以下、「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」が21.9%、「残業が多い/休みが取り難い」が19.9%、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」が19.8%と続き、従業員調査でも同様の傾向が見られた。