半導体製造装置大手の東京エレクトロン(TEL)は11月2日、同社子会社Tokyo Electron Europeが、MRAM向け磁場中熱処理装置(Magnetic Annealing Tool)などの開発・製造・販売を行うアイルランドのMagnetic Solutions(MSL)を買収すると発表した。

MRAMは、低消費電力で高速書き込み処理が可能という特長から、次世代半導体デバイスの1つとして注目されている。MRAMの製造では、強磁場における熱処理が素子性能を左右する重要な工程とされており、今回の買収により同分野での知見・技術を有しているMSLとTELの熱処理炉の生産性・微細化装置技術を組み合わせることが可能となり、MRAMの量産に最適化された装置を提供することが可能となると同社では説明している。

MSLのMagnetic Annealing Tool「MRTシリーズ」としては、300mmウェハ対応で、最大5T対応の「MRT5000/3000」ならびに最大2T対応の「MRT2000/3000」がSTT-RAM(Spin Torque Transfer RAM:スピン注入メモリ)向けが提供されており、最大100枚の搭載が可能だという。最大600℃の作動温度で、処理環境下で1℃以内の温度制御精度機能を実現している。さらに、ウェハは磁場方向に平行または横方向の2方向を選択することが可能となっている。

なお、TELでは、次世代メモリとして注目されるMRAMの製造技術確立に向けて装置開発を進めており、強磁場熱処理に高い技術を有するMSLの統合により、自社の熱処理装置事業のさらなる成長を目指すとコメントしている。

MSLのSTT-RAM向けアニール装置「MRT Series」のイメージ