NTTドコモは25日、災害時等の長期停電対策として、基地局の非常用電源に燃料電池を2013年3月から導入すると発表した。燃料電池の導入により、従来設備よりも軽量かつ省スペースで長時間利用が可能になる。同時に災害時等に遠隔操作で基地局の消費電力を抑制することで、サービスエリアを維持しながら非常用電源を長持ちさせることが可能な機能を開発し、全国の対象基地局への導入が完了したことも公表した。

燃料電池

鉛蓄電池

基地局に導入される燃料電池は、従来の基地局バッテリー24時間化のために設置されている鉛蓄電池と比較して、重量が約14分の1、容積が約2分の1になり、軽量・小型化される。加えて、非常用電源として40時間以上運用することが可能になる。

燃料電池 鉛蓄電池
容積・サイズ 135×115×176cm 燃料電池の約2倍
重さ 約492kg(燃料197kgを含む) 燃料電池の約14倍
燃料・充電方法 メタノール水溶液充填により稼動 電気充電により稼動

当初は燃料として消防法上の危険物に該当しない濃度60%未満のメタノール水溶液を使用し、将来的にはバイオ燃料化も検討する。

今年度中に関東甲信越の一部基地局で先行導入し、2013年度から順次他地域の基地局に導入していく予定。

装置の省電力化については、遠隔操作で基地局の装置もしくはその一部ごとに電源ON/OFFの制御を可能とするもので、この制御により電力消費を抑制することが可能になる。

省電力時運用イメージ例。サービスエリアを変えることなく装置Cのみでより長時間運用する

従来は停電等で基地局装置が非常用電源での運用を余儀なくされた場合、現地へ駆け付け、現地作業による省電力化を実施することで電力消費を抑制してきたが、同機能により省電力化を行うことで携帯電話サービスを長時間提供することが可能になる。

同機能はソフトウェア変更により2012年4月から導入、7月に全国の対象基地局に導入完了した。すでに2012年7月の九州豪雨、9月の台風17号の際にも運用しており、今後も非常時の通信確保を目的に活用していくという。

(記事提供: AndroWire編集部)