IDC Japanは10月22日、2011年の国内モバイルセキュリティ市場規模実績と2016年までの予測を発表した。これによると、同市場の2011年の市場規模は37億円で前年比成長率が60.6%だったという。

国内ITサービス市場 支出額予測(2010年から2016年) 資料:IDC Japan

モバイルセキュリティ市場は、モバイルアイデンティティ/アクセス管理市場、モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場、モバイルセキュリティ/脆弱性管理市場、その他モバイルセキュリティ市場で構成されている。

2011年の国内モバイルセキュリティ市場は、スマートフォンなどのモバイル機器の市場拡大とともに、Android端末を狙うマルウェアが急増したことで、コンシューマー市場を中心にAndroid端末向けウイルス対策製品の需要が高まった。Android端末を狙うマルウェアの数は、2012年に入ってさらに増加傾向が加速しており、2012年以降も需要が高く、ウイルス対策製品を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場が市場拡大をけん引するとみている。

同市場の2011年から2016年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は22.9%で、市場規模は2011年の37億円から2016年には103億円に拡大すると予測している。

2011年の国内モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、前年比成長率が67.9%で市場規模は23億円。モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、コンシューマー市場でAndroid端末向けウイルス対策製品の需要が高く、同市場をけん引した。企業向けでは、モバイルデバイス管理と一緒にウイルス対策などのセキュリティソリューションが導入/展開されるケースが多く、モバイルデバイス管理の導入が拡がることで、今後も高い需要が見込まれる。同市場の2011年から2016年のCAGRは22.5%で、2016年の市場規模は65億円と予測している。

2011年の国内モバイルアイデンティティ/アクセス管理市場は、前年比成長率53.2%で市場規模は5億円。同市場は、スマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器からのオンラインショップの利用やSNSサービスの利用が増えており、モバイル機器でのソフトウェアトークンによるワンタイムパスワード認証やSSL証明書による認証、リスクベース認証など、ユーザー個人のIDとパスワードのみの固定パスワード認証と組み合わせた多要素認証ソリューション、モバイルアプリケーションやSNSでのシングルサインなどの需要が高く、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、今後も高い需要は継続するとみている。同市場の2011年から2016年のCAGRは,モバイルセキュリティ市場の中で最も高く28.7%で、2016年の市場規模は17億円と予測している。

企業におけるスマートフォンやタブレット端末の活用は、現状試験的導入を実施しながら活用方法や活用目的を試行錯誤している企業が多く、部分的な導入/活用にとどまっている。しかし、様々な業務アプリケーションがモバイルアプリケーションとして提供されることで、モバイルデバイスの活用は進展するとみている。「セキュリティベンダーは、モバイルアプリケーション提供事業者と連携し、モバイルセキュリティソリューションの導入を推進させるべきである」と同社は述べている。