自動車業界をはじめさまざまな分野で戦略的情報システムを提供しているITカーズはこのほど、世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」自動車へのコンバージョンキットを発表した。車検をクリアした搭載車も公開している。

公開されたガソリン混合水素エンジン搭載のデモカー。「ワゴンR」を使用している

この世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」へのコンバージョンキットは、東京都市大学(旧武蔵工業大学)総合研究所水素エネルギー研究センターの山根公高准教授の助言の下、ITカーズが開発したもの。デモカーにはスズキ「ワゴンR」が選ばれており、最も小型である軽自動車に対応できれば、すべての車種に適用可能だという。

このエンジンはガソリン単独、水素単独、水素とガソリンの混合モードで走行できるのが大きな特徴。各モードの切替は走行中でも可能となっている。水素単独や水素とガソリンの混合モードでの性能はガソリンと同等で、燃費は同等かそれ以上になるとしている。また、航続距離はデモカーでは高圧水素容器を1本搭載しており、これで150km、さらにガソリンで350km、合計500kmの走行が可能。改造費用は現時点では400~500万円だが、量産化すれば30万円程度になるという。

水素単独で走行すれば、排出されるのはわずかな水だけで、温室効果ガスも人体に有害なガスも排出しない。これまで水素エンジンは水素供給のインフラが課題だったが、ガソリンを併用することでこの問題を解決している。水素の供給インフラは昨年1月より、経済産業省と民間企業の共同事業で「水素ステーション」を設置する計画が進んでいるとのこと。