既報の通り、全米にCDMAネットワークを展開する米Verizon Wirelessが販売している「iPhone 5」が、GSMネットワークおいてSIMロックフリーで機能するという報告が米国で話題になっている。この理由について、元ソフトウエアプログラマのDuncan Davidson氏などが、700MHz帯無線オークションにおいて米連邦通信委員会(FCC)が落札者に課した条件に従ったものと指摘している。
Verizonは、FCCの700MHz帯無線オークションにおいて2008年3月に93億6000万ドルで落札したCブロックに、LTE対応のネットワークを構築した。FCCは同ブロックの落札者に、デバイスおよびアプリケーションに対してオープンなプラットフォームの構築を義務づけていた。CFR(Code of Federal Regulations)のTitle 47(テレコミュニケーション)でCブロックへのネットワークアクセスの条件をまとめた27.16を参照すると、「(e) ハンドセットのロック禁止」という項目名で、顧客が利用できるデバイスおよびアプリケーションの機能を故意に制限したり、無効化するのを禁じている。「ハンドセットを他のプロバイダーのネットワークに対応させる機能」も、この対象になる。Davidson氏などの推論が正しければ、米GoogleがFCCの700MHz帯オークションに参加し、強硬なかけ引きを展開してCブロックのライセンスにオープンアクセスの条件を引き出したことが、今日のVerizonのSIMロックフリー版iPhone 5につながったことになる。
ただし、Verizonは幅広く他の端末についても、条件を満たせば、米国以外での使用に限ってユーザーからの要望に応じてSIMロックを解除している。米国でiPhone 5を販売する他のキャリアでは、CDMA系のSprintはiPhone 5をSIMロック状態で販売しているが、一定期間が経過した後に米国以外の使用に限ってSIMアンロックを認めている。GSM系のAT&Tは、2年契約を完了したiPhoneに限りSIMロック解除サービスを提供している。