米Appleが9月21日に発売したiPhone 5では、従来のDockコネクタに代わり新たに「Lightning」という名称の規格のコネクタが採用された。ある分解レポートによれば、Lightningケーブルには認証チップが埋め込まれており、単なる充電ケーブルでさえ認証チップの埋め込みなしには動作しない可能性が指摘されており、サードパーティの安価な製品が流通しにくくなることも予想される。

同件を報じているのはApple InsiderだDouble Helix CablesがLightning-USBの接続ケーブルを分解したところ、USBの電源ピンに接続される部分とLightningの電源ピンの間にチップが接続されているのを発見したという。推測によれば、これは認証チップ的なもので、チップなしに直接USBとLightningを接続しても充電が行えない可能性があるという。AppleはMFi (Made For iPhone)の名の下にDockコネクタを利用するサードパーティの周辺機器に認証プログラムを提供しているが、こうした認証プログラムへの参加なしにサードパーティに対応製品を製造されるのを防ぐのが狙いとみられる。MFiに参加していないサードパーティはチップ供給を受けられないため、充電ケーブルでさえ製造が困難になるというのだ。

法令により欧州地域のみで販売されているLightning to Micro USB Adaptor (画面はフランスのApple Online Store)。Micro USB端子のケーブルであれば組み合わせが自由なため、使い方しだいでは便利な周辺機器だ。ただし売り切れが続いているようで、5~7日の出荷期間が設定されている

Apple InsiderではKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏のコメントを引用して、従来のDockコネクタの製造コストが0.40ドル程度だったのに対し、Lightningコネクタの製造コストが3.50ドルまで急騰している可能性を指摘している。Kuo氏のコメントがチップの存在を把握していたかは不明だが、Lightning自体が新技術でまだまだ製造コストが高止まりしており、当面は安価に対応ケーブルを入手するのが難しい可能性もある。なお現在、米国Apple Storeでは「Lightning to USB Cable」が19ドルで販売されており(日本での販売価格は1880円)、入手期間も2~3週間と品切れが続いている。ケーブルやコネクタは破損しやすい部位でもあり、一部では欧州でのみ販売されている「Lightning to Micro USB Adaptor」という変換コネクタ(19ユーロ)を保険として活用する動きもある。