米Amazon.comは9月6日 (現地時間)、米カリフォルニア州サンタモニカで開催したプレスイベントで、電子書籍リーダーKindleの第5世代製品を発表した。新しいフラッグシップモデルになる「Kindle Paperwhite」は、解像度が62%、コントラストが25%向上。独自設計のLEDフロントライトによって、暗い場所でも快適に読書を行える。Amazon CEOのJeff Bezos氏は「われわれは長年、PaperwhiteのようなKindleを作りたかった。だが、このようなレベルのコントラストや解像度、明るさのディスプレイと、バッテリー駆動時間を実現する技術は存在しなかった。だから、われわれのエンジニアが自ら発明した」と述べている。

紙を超える読書体験を追求した「Kindle Paperwhite」

Kindle Touch(右)よりもコントラストが高く、表示がクリア

Kindleを含む数多くの電子書籍リーダーに採用されてきたE-Inkペーパーは、バックライトが不要なため消費電力が少なく、ユーザーの目に優しい。しかしコントラストが低く、暗い場所で読みにくいという欠点があった。Paperwhiteのディスプレイは6インチで、表面からアンチグレア層、ライト・ガイド、タッチパネル、E-Inkディスプレイという構造になっている。光が下からではなく、ディスプレイに向かって照射され、ユーザーの目を直接刺激しないため、長時間の読書でも目が疲れないという。4つのLEDだけでスクリーン全体を明るくする効率的なライト・ガイド技術を用いており、常時ライトオン状態でも長時間のバッテリー駆動が可能。公称のバッテリーライフは8週間(ワイアレス・オフで使用)だ。静電容量式のタッチパネルにも、より薄いフォームファクタで正確に反応する新しい技術を採用した。ディスプレイの解像度は212ppiだ。テキストはどのようなサイズでも明瞭で、画像もよりシャープかつリッチに表示される。E-Ink Pearlを搭載した前世代モデルの解像度は167ppiだった。

パーソナライズ機能の向上も第5世代における改善点の1つだ。選択できるフォントが6種類に増加。いずれもPaperwhiteで見やすいように調整されている。「Time to Read」というユニークな新機能も追加された。ユーザーの読書スピードを基に、チャプターの終わりまで、または読了に要する時間をKindleが予測する。

ディスプレイが大幅に強化された一方で、Kindle Touchが備えていたスピーカーやオーディオ機能が省かれた。内蔵ストレージも2GBと小さくなった(Kindle Touchは4GB)。本体サイズは169×117×9.1ミリで、重さが213グラム。Kindle Touch(172×120×10.1ミリ、213グラム)よりもわずかにスリムになった。

69ドル(約5440円)に値下げされた「Kindle」

価格は、Wi-Fiモデルが119ドル(広告あり)と139ドル(広告なし)。無料で3Gデータサービスを使用できるWi-Fi+3Gモデルは179ドル(広告版)と199ドル(広告なし版)。広告はコンテンツではなく、スクリーンセーバーに表示される。すでにAmazon.comで予約受付を開始しており、出荷予定日は10月1日となっている。

Amazonはまた、エントリーモデルの「Kindle」もアップデートした。6インチのE-Ink Pearlディスプレイは前世代モデルと同じだが、ページの移動が15%高速になり、価格が79ドルから69ドルに値下げされた。すでに出荷を開始している。なお、同社は第5世代のKindleと共に、ハードウエアキーボードを備えた「Kindle Keyboard 3G」も引き続き販売する。9.7インチディスプレイの「Kindle DX」は在庫が無くなり次第、販売終了になる。

Kindle Paperwhite 3G Kindle Paperwhite Kindle Kindle Keyboard 3G
ディスプレイ 6" Paperwhite(212ppi) 6" Paperwhite(212ppi) 6" E-Ink Pearl(167ppi) 6" E-Ink Pearl(167ppi)
接続性 3G(無料)、Wi-Fi Wi-Fi Wi-Fi 3G(無料)、Wi-Fi
ストレージ 2GB 2GB 2GB 4GB
オーディオ ステレオスピーカー
本体サイズ 169×117×9.1ミリ(221グラム) 169×117×9.1ミリ(213グラム) 166×115×8.7ミリ(170グラム) 190×123×8.5ミリ(247グラム)