米Amazon.comは9月6日 (現地時間)、米カリフォルニア州サンタモニカでプレスイベントを開催し、HDディスプレイを搭載したKindleタブレット「Kindle Fire HD」を発表した。

Kindle Fireは、Amazonが提供するデジタルコンテンツ(電子書籍・電子雑誌、音楽、映画・TV番組など)サービスを利用するためのAndroidベースのタブレットだ。昨年11月に登場した初代Kindle Fireは1024×600ピクセルのディスプレイを搭載した7インチ・タブレットだった。Kindle Fire HDはHDコンテンツを快適に楽しめるように設計されており、7インチモデル、8.9インチモデル、8.9インチの4G LTE版というラインナップになっている。Fire HD投入に伴い、プロセッサとメモリーを強化したKindle Fireを従来から40ドル値下げした159ドル(約12,500円)で提供する。

Kindle Fire HDのディスプレイは、8.9インチモデルが1920×1200ピクセルで254ppi、7インチモデルは1280×800ピクセルだ。IPS液晶にAdvanced True Wideという偏光フィルターを組み合わせることで、IPS液晶を採用した他のタブレットよりも広い視野角でリッチな表現を実現する。また液晶とタッチセンサーを直接重ねた構造になっている。従来のタブレット用のディスプレイでは液晶用とタッチセンサー用に2枚のガラスが用いられ、そのギャップによってディスプレイのグレアが強まっていたが、液晶とタッチセンサーが一体化したKindle Fire HDのディスプレイはガラスが1枚のみ。これにより第3世代のiPadよりもグレアが25%も少ないという。ガラスには優れた強度で定評のあるGorilla Glassを採用している。

Wi-Fi機能向けにデュアルアンテナを搭載し、MIMO(Multiple Input Multiple Output)をサポートする。競合するタブレットよりも、コンテンツのダウンロードやストリーミングが「40%高速」とアピールする。4G LTE+Wi-Fiモデル向けに米国でAT&Tが提供するLTEサービスは、データ転送量250MB/月で年額49.99ドル。契約者には、Amazon Cloudストレージ 20GBとAmazon Appstoreの10ドル分の商品券を提供する。

プロセッサは8.9インチモデルがOMAP 4470 (1.5GHz、デュアルコア)、7インチモデルがOMAP 4460 (1.2GHz、デュアルコア)。初代Kindle Fireはストレージが8GBだったが、Kindle Fire HDはWi-Fiモデルが16GB/32GB、4G LTE+Wi-Fiモデルが32GB/64GBとなっている。フロント側にHDカメラを装備しており、Skypeアプリがプリインストールされている。ステレオスピーカーは、タブレットで初めてDolby Digital Plusをサポートする。

本体サイズは8.9インチモデルが9.45×6.5×0.35インチ(240×164×8.8ミリ)で、14.1オンス(567グラム)。7インチモデルが7.6×5.4×0.4インチ(193×137×10.3ミリ)で、13.9オンス(395グラム)。

Kindle Fire HD 8.9インチモデル

Kindle Fire HD 7インチモデル

ソフトウエア面では、Kindle Touch向けに提供されていたX-RayがKindle Fireにも拡大され、またX-Ray for Movies、X-Ray for Textbooksが追加された。X-Rayは電子書籍から登場人物や地名などを抜き出し、概要とともに表示するまとめ機能だ。X-Ray for MoviesはIMDbと連携し、ユーザーは映画を視聴しながら俳優や関連情報などを確認できる。X-Ray for Textbooksはテキストブックの内容に関連したWikipediaやYouTubeからの情報を提供する。

同期機能のWhispersyncにVoiceとGamesが加わり、オーディオブックやゲームでも、複数のデバイスでスムースに前回の続きからコンテンツを楽しめる。Kindle FreeTimeというパレンタルコントロール機能も用意された。子供がアクセスできるコンテンツ、デバイスを使用できる時間(コンテンツの種類ごとの設定が可能)などを保護者が管理できる。

ゲームもWhispersyncで同期可能に

子供のタブレット利用を管理するKindle FreeTime

Kindle FireはプロセッサがOMAP4430 (1.2GHz、デュアルコア)になり、RAMが2倍になったことで、パフォーマンスが40%向上し、バッテリー駆動時間が8時間から8.5時間に伸びた。X-Ray for Movies、X-Ray for Books、Whispersync for Voice、Whispersync for Games、Kindle FreeTimeなどの新機能も使用できる。本体サイズは7.44×4.72×0.45インチ(189×120×11.5ミリ)で、14.1オンス(400グラム)。

4G LTE Kindle Fire HD 8.9" Kindle Fire HD 8.9" Kindle Fire HD 7" Kindle Fire
ディスプレイ 1920×1200 1920×1200 1280×800 1024×600
プロセッサ 1.5GHz OMAP 4470(デュアルコア) 1.5GHz OMAP 4470(デュアルコア) 1.2GHz OMAP 4460(デュアルコア) 1.2GHz OMAP 4430(デュアルコア)
ストレージ 32GB、64GB 16GB、32GB 16GB、32GB 8GB
ワイアレス Wi-Fi、LTE Wi-Fi Wi-Fi Wi-Fi
本体サイズ 240×164×8.8ミリ(575グラム) 240×164×8.8ミリ(567グラム) 193×137×10.3ミリ(395グラム) 189×120×11.5ミリ(400グラム)

米国における出荷予定日と価格は以下の通り。

  • Kindle Fire HD 7インチモデル(9月14日出荷開始):16GB(199ドル)、32GB(249ドル)

  • Kindle Fire HD 8.9インチモデル(11月20日):16GB(299ドル)、32GB(369ドル)

  • Kindle Fire HD 8.9インチ 4G LTEモデル(11月20日):32GB(499ドル)、64GB(599ドル)

  • Kindle Fire(9月14日):159ドル

いずれのモデルも米Amazon.comにおいて、6日から予約受付が始まった。