NHKは9月4日、新たな材料を組み合わせることにより、従来より消費電力を1/3に、寿命を7倍にした赤色発光有機ELデバイスの開発に成功したと発表した。詳細は、9月11日~14日に開催される「第73回 応用物理学会学術講演会」で報告される予定。また、9月25日発行の「Advanced Materials」にも掲載される。

有機ELデバイスの発光層は、発光材料とそれを分散させて電気エネルギーを発光材料に受け渡すためのホスト材料で構成される。従来、発光材料にはイリジウム錯体が一般的に用いられていたが、抜本的な性能改善に向けては、イリジウム錯体以外の発光材料を用いたデバイスの開発が大きな課題だった。

今回、発光材料として白金錯体を用い、ホスト材料として新たにベンゾキノリン誘導体を用いた材料を組み合わせることによって、従来のイリジウム錯体を用いたデバイスに比べて、1/3の消費電力と7倍の寿命を実現した。

今後は、赤色発光有機ELの省電力・長寿命特性をさらに向上させるとともに、緑色・青色発光の有機ELデバイスも試作する予定。これらの各色有機ELデバイスの開発により、フレキシブルディスプレイの早期実現を目指す方針とコメントしている。

従来デバイスとの比較

ベンゾキノリン、カルバゾール誘導体の分子骨格