「ユーザーの検索の意図を正確に理解し、ユーザーが求めている情報を提供する」というのが、Googleが目標とする検索である。8日(現地時間)に同社は、この理想を目指したGoogle検索のアップデートを発表した。Knowledge Graphの活用を広げ、またWeb検索結果とGmail検索結果を合わせて表示するパーソナル検索のフィールドテストを開始した。Google SearchシニアバイスプレジデントのAmit Singhal氏は「これらは小さなステップだが、未来の検索エンジンを構築する道のりの中で重要な一歩である」と述べている。
Knowledge Graphは、人や場所、物事の関係をリンクさせたデータを基に、より情報の意味を反映させた検索を可能にする。例えば「Taj Mahal」とユーザーが検索した場合、世界遺産のタージ・マハル、ブルースミュージシャン、カジノ、インド料理店など様々な可能性を考慮し、わかりやすく整理した情報を結果に表示する。5月の米国での提供開始以来、Knowledge Graphは良好なフィードバックを得ており、Googleは提供地域を米国以外の英語圏の国に拡大する。これによりKnowledge Graphにおいて、場所の情報をより役立てられるようになる。例えば「chiefs」と検索すると、米国ではアメリカンフットボールチームの情報が表示され、オーストラリアではラグビーチームの情報が現れる。
Knowledge Graphは、異なる意味が存在する検索語の候補表示にも活かされる。例えば「rio」と検索した場合、候補に「rio - Rio, 2011 Film」(映画の「Rio」)、「rio - Rio de Janeiro, City」(ブラジルの都市リオデジャネイロ)などが並ぶ。
「things to do in paris」(パリでやるべきこと)のような検索の場合、ユーザーが探している情報は1つではない。そこで、こうした検索では、複数の関連する情報をグループ化し、効率的に伝えられようにUIを改良した。結果ページのトップに写真付きで関連する情報が並ぶ(「things to do in paris」ではパリの観光地など)。
モバイル検索で、音声検索機能が検索の意味をより理解できるようになり、自然な言葉を使った検索の幅が広がる。検索によっては直接、音声で答えてくれる。例えば「what is a humpback whale?」(ザトウクジラって何?)と聞くと、ザトウクジラの情報をまとめたカードが表示され、同時に音声で特徴を説明してくれる。また気温を聞けば、すぐに「××度です」と音声で答えてくれるなど、会話をするように検索が進む。同機能はまず数週間以内にAndroid向けに提供開始となり、続いてiOSデバイス(iOS 4.2以上)でも利用できるようになる。
Web検索結果にGmail検索結果も表示する試みは、現段階では同じリサーチでWebとメールアプリを別々に検索する手間を省いてくれるものだ。例えばサンフランシスコのレストランを検索すると、Web上の情報とともに、過去に友だちがメールに書いていたレストランも確認できる。将来的にはパブリックとプライベートの情報をうまくリンクさせて、より有用な情報を表示できるように開発を進めているという。例えば「my flight」(私のフライト)と検索しただけで、Gmailに届いていたフライト確認メールを基に、Web上の情報も合わせて、今後のフライト・スケジュールをひと目で確認できるようにレイアウトして結果に表示する。