太陽誘電は7月18日、業界最高クラスのQ値を実現した高周波積層High-Qチップインダクタ「HKQ0603W」を発表した。
スマートフォンやタブレットPC などの小型モバイル機器では、次世代通信規格LTEの採用が本格化しており、高品位な通信を確立するため、高周波回路には従来以上の高い性能が求められている。特に、RFフロントエンド部に代表される高周波回路では、インピーダンスマッチングによるノイズ抑制、高効率化が求められる。このようなインピーダンスマッチング回路に使用されるインダクタは、高周波域でも特性を保持することが求められると同時に、機器の小型化・薄型化に伴い小型薄型な形状も要求される。
しかし、従来のインダクタは、小型化すると直流抵抗が増加してQ値が低下してしまい、高周波回路の性能向上を十分に果たすことができなかった。そこで今回、内部構造や外部電極構造をL字状にするL字型端子などの技術を駆使し、「HKQ0603W 2N7」では、1.8GHz という高周波域でQ値を48(typical)を達成した。同社の従来品「HKQ0603U 2N7」(同Q 値41)と比較して15%以上改善しているという。サイズは0.6mm×0.3mm×0.3mm。太陽誘電では、高周波積層High-Qインダクタにおいて、0402サイズへの展開などさらなる小型化やラインアップ拡充を推進してく考え。
なお、「HKQ0603W」は2012年7月より、国内拠点および太陽誘電(フィリピン)にて、月産3億個体制で量産を開始する。サンプル価格は15円。