アールティは6月28日、吉崎航氏が開発したヒューマノイドロボットのための演技指導フリーウェア「V-sido(ブシドー)」と、Android OSで制御する1m大ロボット「RIC(リック:Robot Inside Character)」(同社製)を組み合わせた、人と対戦できる拡張現実(AR)系実世界アクションゲーム「V-sido x RIC忍者マスターシステム」を開発したことを発表した。

米国時間6月27日から29日までサンフランシスコの会場Moscone Centerで開催される「Google I/O 2012」で公開される。

V-sido x RIC忍者マスターシステムは、Android OS搭載のタブレットから、「Open Accessory Development Kit(ADK)」を用いて制御する仕組みだ。Androidスマートフォンやタブレットをゲームのシステム運用機として実世界にも展開できることを示すコンセプトモデルとして提案された形だ(画像1)。

通常、バトルゲームは画面の中だけで展開されるが、このようなシステムによりテレビゲームが実世界へ飛び出るチャンスを得られることを示したという。また、人間の対戦相手とリモートコントロールされた等身大の2足歩行人型ロボットによるこのようなインタラクティブゲームは、世界で初めてである(同社調べ)。

画像1。V-sido x RIC忍者マスターシステムのシステム全体図

具体的には、RIC忍者マスターロボット(画像2)の顔に取り付けられたAndroidタブレットがゲーム全体を制御する形だ。Androidタブレットは、ゲームの開始/終了、ロボットへのパンチの当たり判定(物理的な相手へのヒット数、自分へのダメージ数)などの状態管理を行う。

画像2。RIC Ninja Masterロボット

これらの情報の入出力は、Androidタブレットに接続した同社製Android公式リファレンスボード「RT-ADK」により行われており、センサによるロボットの状態の取得とロボット本体の制御をしている。詳細なシステムフローは画像3の通りだ。

画像3。システムフロー

ロボット本体はAndroidタブレットからの指令により、イメージセンサの画像処理結果とゲームパッドでの操作を使ってリアルタイムに動作生成して操縦できる形だ。

リアルタイムに画像処理をしてロボットの動作を生成し、バランスを崩さずに歩行しながら物理的に対戦相手と接触するゲームをするチャレンジは、ロボット自身の制御もさることながら、相手との接触による物理的な反動を制御することも不可欠であり、2足歩行ロボットでのロバストな動作を実現する上でも重要なチャレンジだと、アールティの開発チームはコメントしている。