米Googleが27日(現地時間)に、Androidの新版「Android 4.1 "Jelly Bean"」をGoogle I/Oで初公開した。製品マネージメント担当ディレクターであるHugo Barra氏によると「Ice Cream Sandwich (ICS:Android 4.0.x)で作り上げたものを土台に構築した」という。ICSのアップデート版のようなリリースになるが、音声入力機能や自然言語による検索の強化、検索におけるカード式の情報表示など、AppleのiOS 6(今年秋リリース予定)に対抗するような機能を数多く備える。
Jelly Beanでは、ユーザーがあらゆる操作を等しく快適に行えるようにプラットフォーム・レベルのパフォーマンスの改善が行われた。その取り組みをGoogleは「プロジェクト・バター(Project Butter)」と呼んでいる。システム・フレームレートが安定するように、Androidフレームワークによって行われるすべての描画やアニメーションにVSyncを拡張。アプリのレンダリング、タッチイベント、ディスプレイのリフレッシュなど、すべてがVSyncの16ミリ秒のタイミングで動作する。またグラフィックス・パイプラインにトリプル・バッファリングを追加した。これによりスクロールからページング、アニメーションに至るまでなめらかにレンダリングが行われる。ユーザーが特に動作のひっかかりを覚えるタッチ操作についてはVSyncタイミングに加えて、スクリーンに指が触れる動作を予測することで安定したレスポンスを実現した。
Googleは昨年から"シンプルに美しく"という目標を掲げている。そうした同社の方向性はJelly Beanにも反映されている。ホーム画面をパーソナライズする際に、ウイジェットを配置すると、ウイジェットが画面にフィットするようにアプリのアイコンが自動的に場所を変える。ウイジェットを置くのに十分な空きスペースがないときはウイジェットが自動的にリサイズされる。配置に悩むことなく、シンプルな操作でアイコンとウイジェットを並べられる。
通知はタップして拡大することで、通知からより詳しい情報を得られるようになった。また、メール送信や電話をかけるといったアクションを通知から直接行える。例えば、ミーティングに遅れそうなとき、スケジュールの通知から「Email guests」をタップするだけで全員に遅刻する旨をメール送信できる。
ICSではカメラ・アプリの撮影機能へのアクセスが向上したが、Jelly Beanでは撮影した写真をすばやく閲覧できるようになった。カメラ・アプリでスワイプするだけで、写真がフィルムストリップで次々に表示される。写真をドラッグして上にスワイプすると写真が削除される。
テキスト入力は、ディクショナリーの改善でキーボード入力における予測の精度が向上した。また音声入力がオフラインをサポートし(US英語のみ)、機内モード有効時などデータサービスを利用できないときでも声を使って文書作成などを行える。
NFCベースの近距離無線通信機能Android Beamのコンテンツ共有が新たに写真とビデオをサポートする。またSimple Secure PairingをサポートするBluetoothデバイスとのペアリングもタップで行える。
Jelly Beanでは検索機能にKnowledge Graphが取り入れられている。まず検索結果のデータが情報を分かりやすくまとめたカード形式で表示される。音声検索が強化され、自然な話し言葉を使った質問をより理解するようになった。シンプルに話しかけて、カード形式の結果を通じてすばやく情報を確認できる。
またGoogle Nowという新しい情報サービスが提供される。位置情報やスケジュール、検索履歴などから、その時にユーザーが必要としていると思われる情報をAndroid端末が提供する。例えば、好きなチームの試合のスコアがアップデートされ、ミーティングの時間が近づくと、その場所への行き方や所要時間をまとめたカードが表示される。
ミーティングの時間が近づくと、場所までの行き方がGoogle Nowに表示される。ユーザーが聞かなくてもAndroid端末が今必要な情報を提供してくれる |
Google Nowに表示されたフライト・スケジュールのカード、ブラウザやアプリを使って調べることなく現在の状況(Delayed)を把握できる |
Android 4.1 "Jelly Bean"は7月にリリースされる。まずはGalaxy Nexus、Motorola Xoom、Nexus S向けにアップデートが提供されるという。