Texas Instruments(TI)は5月10日、MCU「Picclo」ファミリの「TMS320F2803x/2806x」に搭載されたCLAコプロセッサ向けCコンパイラを発表した。

従来のアセンブリ言語に代わり、C言語によるプログラミングが可能となるため、開発期間を短縮し、開発工程数を削減できる。32ビット浮動小数点演算アクセラレータであるCLAは、「TMS320C28x」のCPUコアと独立して動作するよう設計されているため、各種の複雑な高速制御アルゴリズムのCPU処理負荷を軽減することが可能。また、オンチップのペリフェラル群へ直接アクセスすることが可能なため、より短いシステム応答時間で効率よく複数のアルゴリズムの並行処理できる。その間、CPUコアは入出力およびフィードバックループの処理に集中するため、閉ループ制御を使用する各種アプリケーションにおいて、最大5倍の性能を向上させることができる。

「F2803x」は、150psの分解能を備えた拡張パルス幅変調(ePWM)、12ビットA/Dコンバータ(ADC)および2つの10MHz発振器を内蔵しており、システム・コストを削減しながら、電力制御アプリケーションのデジタル化できる。「F2806x」は、「C28x」コアおよびCLAの他に、VCU(Viterbi, Complex Math and CRC Unit)を内蔵、75種類の専用の数値演算命令を提供することから、複数の通信アルゴリズムの処理を高速化できる。また、オンチップに内蔵したUSB 2.0およびCANが通信スループットを向上させる。さらに、複数のPWMや16チャネルの3MSPS、12ビットADC、10ビットのリファレンスを備えた3個のアナログ・コンパレータを内蔵する。

CLAおよびCLA向けのCコンパイラにより、各種モータ制御アプリケーションの開発をより効率よく行うことができる。CLA上で動作する最適化されたソースコード・ソフトウェア・ライブラリおよびサンプル・コードは、無償で提供される。これにより、15~20%性能向上を実現しながら、各種モーター制御アプリケーションを容易かつ迅速に開発できるようになる。

モータ制御向けの新しいソフトウェア・ライブラリおよびサンプル・コードは、controlSUITEソフトウェア・プラットフォームから入手可能。controlSUITEソフトウェアは、同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。

なお、価格は「F2803x」が1000個受注時で3ドル未満から、「F2806x」が同4.95ドルからで設定されている。