NECは、薄くて曲げられるなどの特長を有する2次電池「有機ラジカル電池」において、ICカード(規格厚0.76mm)に内蔵可能な厚さ0.3mmの薄型電池を開発したことを発表した。

有機ラジカル電池は、薄型・柔軟性・高出力性・高速充電が可能など、リチウムイオン電池をはじめとする他の2次電池にはない特長を活かし、ICカードの高機能化や電子ペーパーなどへの適用が期待されている。しかし、従来の薄型化は0.7mmが限界であり、0.76mmの規格厚を有するICカードへの適用は困難であった。今回、印刷技術を用いて回路基板と電池を一体化することで、従来比1/2以下となる厚さ0.3mmを実現したことで、大きな電力を必要とする画面表示機能や、通信機能、高度な暗号化処理機能をICカードに搭載することが可能となるなど、幅広い用途への適用を実現したという。

具体的には、電池を包み込む外装材として、回路基板にも利用可能な厚さ0.05mmのポリマーフィルムを採用した。また、印刷技術により負極を回路基板上に直接形成すると共に、負極の上にセパレータ(絶縁体)、ラジカルポリマー正極などを積層して作製することで、厚さ0.3mmを実現した。なお、従来の電池では、外装材として利用していたアルミラミネートの厚みだけで0.2mmを要していたという。

さらに、回路基板上には小型電子部品も実装可能なため、電池に加えてアンテナ、ICを実装した回路基板を用いることで、電池を内蔵した規格サイズのICカードが実現可能だという。

性能としては、3cm角、厚さ0.3mm、電池容量3mAhの試作品において、体積あたりの出力密度5kW/Lの出力性を確認したという。同試作品では、1回の充電により表示画面の更新2000回、連続フラッシュ発光360回、位置情報送信35回などが可能であった。

また、充放電サイクル試験では、携帯電話用リチウムイオン電池と同等の性能である、500回の充放電で初期容量比75%の容量の維持を確認し、実用性も実証されたという。

なお同社では、有機ラジカル電池の実用化・適用領域の拡大に向けて、今後も研究開発を強化していくとしている。

NECが開発した厚さ0.3mmの有機ラジカル電池