ルネサス エレクトロニクスは2月16日、ノートPCにおけるリチウムイオン2次電池の充放電制御スイッチやACアダプタとの電源切り替え用のパワーマネージメントスイッチとして、低損失のパワー半導体(MOSFET)「μPA2812T1L」など計5品種を製品化したことを発表した。

ノートPCは、システム全体の省電力化や電池駆動時間の長時間化、筐体の小型・薄型化が要求されており、使用されるリチウムイオン2次電池の充放電制御スイッチやACアダプタなどのパワーマネージメントスイッチでも、低オン抵抗化や小型化が求められている。同社では製品開発に当たって、微細プロセスの採用などにより従来の同用途向けパワーMOSFETプロセスに比較して同一有効面積でオン抵抗を約半分に低減できるプロセスを確立した。

同製品は、3.3mm角の小型パッケージ(HVSON(3333))で業界最小クラスとなる4.2mΩの低オン抵抗を実現した。このため消費電力を低く抑えられ、システムの省電力化やリチウムイオン2次電池の駆動時間の長時間化が図れる。オン抵抗を低減したことにより、同社従来品「μPA2810T1L」を並列で用いた回路をμPA2812T1Lに置き換えることも可能で、システムの実装面積を削減できる。

また、同等の性能(低オン抵抗)を実現する同社従来品は約3倍大きいSOP-8パッケージ品を用いていたが、同製品を用いることで、実装面積を約2/3に低減できるようになる。

5品種は、オン抵抗で4.2mΩから12mΩ(typ.)までのラインアップで、動作電流や環境条件などの様々なニーズに、より最適な製品を提供することが可能。

なお、今回採用している3.3mm角の小型パッケージ(HVSON(3333))は、高放熱タイプであり、露出させたリードフレームから実装基板にパッケージ内の熱を放熱できる。SOP-8などの高放熱タイプではないパッケージよりも製品周辺の熱を抑えられるため、リチウムイオン電池パックなどの小型化や薄型に貢献できるという。

すでにサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は、1個当たり50円。量産は2012年4月から開始し、2013年4月以降には5品種合計で月産500万個を生産する予定。今後は、さらに小型パッケージへ展開するなど製品ラインアップを強化していく方針。

低損失のパワーMOSFET「μPA2812T1L」の製品写真