日立製作所と日立オートモティブシステムズは、電気自動車(EV)/ハイブリッド自動車(HEV)用インバータの心臓部であるパワーモジュールの小型化に寄与する、直接水冷型両面冷却技術を開発したことを発表した。同技術を応用して試作されたパワーモジュールは、同社の従来の製品と比べて放熱特性が35%向上しており、床面積を50%に低減できることが確認されている。

近年、環境問題やエネルギー問題が背景にあることから、EVやHVなどが普及しているのは誰もがしるところ。しかし、それらに対してより広い車内居住空間やさらなる燃費の改善が求められているのが実情だ。

そのニーズに応えるためには、EVやHEVのキーコンポーネントの1つである車載用インバータの小型化が必要である。車載用インバータを小型化するには、多くのパワー半導体が集積されているパワーモジュールの放熱技術を開発し、冷却性能を高めることが必須だ。

そこで、両社はパワーモジュールの発熱を直接冷却水へ放熱させる水冷方式を選択。そして今回、独自の直接水冷型パワーモジュールの発表となったのである。

今回試作したパワーモジュールは、従来のパワー半導体を片面放熱から両面放熱構造とすることで放熱経路を拡充。具体的には、パワー半導体の両側に放熱経路を形成するためのグリースを用いず、絶縁層を介して放熱経路を形成することで冷却性能を向上させると共に、熱流体、電気発熱、応力などの解析技術を駆使した最適な放熱構造などの設計技術により小型化を実現した。

今後も、両社はEVやHVのキーテクノロジーとして、インバータに加えてモータやバッテリなどの中核コンポーネントのさらなる性能向上を目指すとしている。

なお、今回試作した直接水冷型両面冷却パワーモジュールは、12月3日から一般公開となる第42回東京モーターショー2011に出展する予定だ。

画像1。直接水冷型両面冷却パワーモジュールの試作品